「あ、起きた?」
目覚めてすぐの光景に既視感がありすぎて、正直二度寝しようかと思った。
もうちょっと寝てていいよ、なんて気遣わしげにこちらを見やるお団子頭の背後に広がるは白、白、白、見覚えのありすぎるカラーボックス。無理じゃん。本当に寝ていいですか?いや、多分寝て起きてもどうにもならないので起きますが。軽く現実逃避をしてる間にも、視界の端では夏油が使役している呪霊が壁を殴り続けている。五条んときも思ったけど起きたら凄い勢いで壁を殴ってる男が居るってすげ〜絵面で笑っちゃうな。今回は呪霊な上に全くもって笑ってる場合ではないが。
記憶していた限り彼の手持ちで一番火力の高い呪霊__ってのを教えてもらった後に更に火力の出る呪霊を取り込んでたら知らないが__でも傷一つ付かない様子を見ているとやはり、ここは例の部屋なのだろう。そう、この間五条と一緒に閉じ込められて地獄を見たあの部屋だ。呪霊に絶えず壁を攻撃させている夏油も心做しかいつもよりスンッ……とした表情をしている気がする。なんか可哀想になってきたな……夏油もだけど私も……
例のカラーボックス__前回はローションだとかその辺のグッズが入っていた__は非常に寝心地の良いベッドの上から見つけたものの、お題が書かれた紙が見当たらなかったのでベッドを下りて夏油の元に向かう。向かうと言ってもそんなに離れてないので2、3歩歩いただけだが。
「今回のお題は何?」
下から顔を覗き込んでそう聞くとギョッとした後知ってるのか、と聞かれた。
「前に……五条と閉じ込められて」
「悟と? ……ああ、あのときか」
「どのときだよ」
「えぇっと確か……前々回の二人任務の時だ」
少し視線を彷徨わせたのち、あのときは悟も居たにしては帰りも遅かったしお互いによそよそしかった、と言われてしまい頭を抱える。ひぇ、ちょっと待て、フラッシュバックしてしまった。
「顔赤いよ。って事は本当にこれを達成しないと出られない感じか」
「いやうるさ……で、今回は何」
「今回? 前回と同じだろう?」
そう言って見せられた紙には前回と同じ字体で、それはもうでかでかと。
「媚薬を10本飲んで薬が抜けないと出られない部屋?」
「なんで声に出したの」
「それ五条にも言われた」
「うわ……」
私の目線からは随分高いところにある夏油の顔から視線を外しカラーボックスを覗く。だいたいこういうのはここに入ってるはずだ。
「あったよ〜結構小瓶じゃん」
前回よりも楽そうで安心した〜と夏油に見せると瞠目した後溜息をつかれた。失礼かよウケる。
「一応聞くけど前回はどんなお題だったの」
「セックスしないと出られない部屋」
「あぁ……」
「じゃあ5本5本でいいよね〜」
「エッ……君も飲むのか?」
「流石に得体の知れないものを同期に全部押し付けるほど人間性腐ってないよ」
「まあ君がいいならいいけど……」
「何が?」
「なんでもないよ」
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夢主
後先考えない同期主。
得体の知れないものを同期に全部押し付けるほど人間性腐ってないが全部自分で飲もうとは思わない。だって自分だけしんどいのって嫌じゃん。このあと再び地獄を見る。
夏油傑
前回よりも楽そうなわけなくない?薬が入って大人しく待てるとは思えないタイプの男子高専生。
元々は自分が全部飲んで薬が抜けるまでは縛り付けてもらうつもりだったけどまあ同期主が良いって言うならいいよね(よくない)
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2021.2.3(2022.11.20 加筆修正)