神野先生の娘/学アリ
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この学園に来る前から知っていた。
母さんが毎日のように話を聞かせてくれたから。
ずっと父の話を聞かせられていた私は、父に会えるのを楽しみにしていた。
学園に入ると決まったとき、私は一番に、父に会った瞬間『お父さん』と呼ぶのだと決めていた。
が、しかし、実際会って呼んでみれば。
『ここでは私達は一切他人だ。娘だということを隠しだてするつもりはないが、贔屓などをするつもりはないのでそのつもりでいろ』
ムカついたので次の日大声で神野のことをお父さんと呼んでやった。
別に贔屓されたくて呼んだんじゃない。
贔屓なんかされなくたって勉強くらい頑張って上位の成績に入ってやるのに。
「―――…とうさん」
ただ、呼んで、父さんに甘えたかっただけ。
それだけ、なのに。
「…………トリプル昇格おめでとう。これからも精進しなさい」
ややあって、六歳のとき、私はトリプルに昇格した。優秀な幹部候補生として、周りに囃し立てられた。
だから神野も、父さんもきっと褒めてくれると思っていた。
しかしそのときも神野は一生徒に対する対応で、何だか虚しくなった。
「……………父さん」
「……父さんと呼ぶんじゃない。先生だ」
「………一度で。一度で良いです。だから、呼んでくれませんか。佑と」
呼んで欲しかった。
私の、名を。
大好きな名前を。
―――…父さんが、付けてくれた名前を。
「………………断る」
その瞬間、静かに泣いた。
▽
「…………昔の夢」
目を覚まして、自嘲の笑みを零した。
私が父さんに好かれようと、奮闘していた頃の夢。
父さんの心にも響かないのなら、トリプルに昇格したってしょうがなかった。
思い出して、唇を噛み締めた。
あれから私は父さんに地味な嫌がらせを仕掛け続けている。
唯一の父さんとのコミュニケーションの方法のようで、何だか嬉しいのだ。
「………とうさん」
さあ今日は父さんにどんな悪戯を仕掛けようか。
▽
神野先生の娘
父と同じ雷のアリス。潜在系
父のことは好きだけど冷たくされ続けて捻くれちゃった反抗期娘
苗字は父に言われて母方のを名乗っている
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