好きな子ほどいじめたい
それは興味本位とほんの少しの好奇心だった。
勉強会だと言ってオンボロ寮にいつものメンバーで集まった放課後、退屈そうに教科書を眺めていたエースが不意に口を開いた。
「そういやさ、メイはレオナ先輩のどこが好きなの?」
「んっ!?」
突然投げかけられた質問にドキリと心臓が跳ね上がり息が詰まる。
「大丈夫かメイ!?」
「げほっ…い、いきなり何!?」
隣に座っていたデュースに背中を擦られながらエースを見ると、まさか私がここまで動揺するとは思っていなかったのか、頬をかきながら気まずそうに苦笑いを浮かべている。
「いやー、だって気になるじゃん。一緒に昼食取ってるのは知ってるけど、パシリみたいなもんだろ?」
「パ、パシ……。初めはそうだったかもだけど、今は自主的にやってる部分もあるし…」
好きな人に手料理を振舞って完食してもらえるのが嬉しくて、今では昼食だけじゃなく夕飯も時々だけど準備させてもらってる。なによりご相伴に預かって食費が浮くのがありがたい……なんてお財布事情もあるのだけど。
言葉で感想を貰ったことはないけれど、レオナ先輩のことだから不味かったら食べるのをやめそうだし、きっと美味しいと思ってくれてるのだと思う。
「ふぅん……」
「な、なに……?」
じーっと遠慮なく私の顔を見つめるエースの視線に耐え切れず、持っていた教科書で顔を隠せばニヤリと口角をあげる。
「こういうのを通い妻って言うのかなぁって思っただけ」
「妻……!? メイとキングスカラー先輩はそういう仲だったのか!?」
「もう、そんなわけないでしょ! エースも変なこと言わないで!」
真面目な顔で「学生結婚……?」なんて呟くデュースに胃がキリキリと痛む。ここがオンボロ寮で本当によかった。教室や食堂だったら下手をすればレオナ先輩の耳に入って、しばらくこのネタで弄り倒されることになっただろう。
「はは、顔真っ赤じゃん。ほんと揶揄いがいがあるよなメイって」
意地の悪い笑みを浮かべたエースは頬杖を付くとニヤニヤと私を見つめて実に楽しそうだ。
「意地悪……。エースって絶対好きな子とかいじめてたタイプでしょ……」
私の言葉にエースは何も言わず、ただ笑みを浮かべ続けた。