緋寄様宅の式部さん
なの様宅ふぁーちゃん
神樂様宅ゆかりんをお借りしました!




「行ってきます」

その日、芥川ふみは入学当初から入居している自身の寮とは別の寮に住んでいる双子の兄である芥川龍之介と通学路の途中で落ち合い、共に学園に通学しようと歩いていた。

途中で朝食を大量に食べたにも関わらず、ぐぅーと鳴ったふみの腹に片割れは溜息を吐くと通学途中にあるコンビニに寄りふみの為に購入してくれたメロンパンを齧りながら龍之介と歩く仲睦まじい普段と変わりない光景が其処にあった。




自身らの通う学園の門を潜り抜ける前迄は…





「此れは駄目なのだぁぁぁ‼︎」

「地毛ですから‼︎」

「カラコンじゃねぇ‼︎」

「その写真は私の私物です‼︎」

「包帯は体の一部です」

「どんな一部なんですか…」



学園の門の前で聴こえて来た聞き覚えのある声にふみと龍之介は顔を見合わせるとお互い首を傾げながら先程、声が聞こえて来た方へと視線を向けた。


其処には、ふみのクラスメイトである錵花と同じくふみの所属する謎の部活・オカルト部に所属する中原中也、
そして武装生徒会に所属しており、ふみの苦手な人で龍之介の敬愛する太宰治とその隣に飽きれた様な表情を見せるふみの敬愛する式部紫織。
そして、ふみを追い回す中島敦と片割れである龍之介を追い回す中島敦の双子の片割れ・中島結と言う男女六人が【風紀】と言う腕章を腕に付け竹刀を持った丸眼鏡の学生で風紀委員長である坂口安吾に詰め寄る姿があった。


六人に詰め寄られている安吾を見た瞬間、ふみは顔を顰めると隣で六人を見て飽きれた様な表情を浮かべる龍之介の背後にスーッと隠れた。
奇妙な行動をする片割れに龍之介は首を傾げたが双子故になのか直ぐにふみがそんな行動をしたのか意味が理解出来た龍之介は、ふみの姿を隠す様にゆっくりと歩き出したのだが……。



「あ、ふみ、おはようなのだ‼︎」


突如、挨拶をした錵花によって龍之介に隠れる様に歩いていたふみの姿はバレてしまった。

ふみは肩をビクつかせ、ゆっくりと背後を振り返るとバチッと完全に風紀委員長である安吾と目が合ってしまい、その横では大好きなふみの存在に気づいた敦が「ふみさーん、おはようございます‼︎」と手を振り、錵花はドヤ顏をしていた。


『錵花…貴様、態《わざ》とだな…』


「逃がさないのだ。私と同じクラスと部活に入った時から一連托生なのだ‼︎」


ふん、と鼻を鳴らす錵花に隣で中原が「手前、この間俺にもそう言って巻き込みやがったよな」と飽きれた表情を浮かべ、錵花は「お?そうだったか?」とシラを切っていた。

錵花が視線を逸らした隙に片割れの手を掴み、その場から退散しようとしたふみだったが其れを風紀委員長・坂口安吾が許す訳が無くふみの制服の襟をガシッと掴むと冷たい声で「何処に行かれるのですか?貴女も充分指導対象ですよ」と捕まってしまった。

ふみは、慌てて助けを求める様に龍之介に視線を移すと龍之介は近くに居た結から逃げる様に普段とは考えられないぐらいの速さでふみをあっさりと見捨てるとその場を後にしていた。


「うわぁーん‼︎りゅーくん‼︎」


『龍之介の裏切り者‼︎』


「わぁー、ふみちゃんお疲れ様!」


叫ぶふみと結にふみの苦手な人である太宰は楽しそうに笑みを浮かべ、隣にいるふみの敬愛する紫織は「もう…太宰さんたら…」と再び飽きれた表情を浮かべていた。



わーわーと騒ぐ、ふみを含めた7人に安吾は顳と口元をヒクつかせ眉間に皺を寄せると口を開いた。



「全員、今から生徒指導室へ来なさい‼︎」










「何故、貴方達は生徒指導室に呼ばれたか分かりますよね」

静かに怒る安吾に7人は、しれっと何故?と言う様に首を傾げた。

その光景に安吾は声を荒げ、怒った。


「貴女達が毎度毎度、風紀を守らないからですよ。分かってますか?
風紀指導すれば毎回、同じ顔ぶれ。
しかも、同じ事で何度も指導…

何 故 ‼︎な お ら な い ん で す か 」


怒る安吾に太宰は笑いを堪える様に口元を隠しながら安吾を指差し、隣にいる紫織に「荒ぶる安吾(笑)」と言った事により更に安吾の怒りは倍増してしまい「太宰くん、反省文30枚書いてくださいね」と反省文の枚数を増やされてしまった。



「まず、芥川ふみさん。貴女はスカートが短過ぎます。
我が学園では女子のスカートの長さは膝下。
貴女のは膝より10センチ以上短いミニスカート。
服装違反対象です」


其々の風紀違反を記入している名簿表を見ながらそう言う安吾にふみは、真顔で『身体が成長したから丈が短くなった』と言うと安吾も真顔で「嘘を言わない」と言い返した。


『そもそも、膝下とかダサい。
いつの時代だ、最近の若者を見よ。皆短いぞ』

「我が学園では膝下が規則です。明日から基準の長さに戻して来なさい」

「そんな…僕のふみさんの素敵な美脚を隠してしまうなんてダメです。反対です。ふみさんはミニスカートとニーハイが世界一似合うんです‼︎隠すなんて絶対にダメです‼︎」


ふみのスカートの長さを直せと言う安吾に必死に抗議する敦に隣にいるふみは敦を冷やかな目で見つめていた。

「我が学園では、靴下は紺か黒のソックス又はタイツのみ使用を許可。
ニーハイは対象外なので追加で服装指導ですね」

敦の抗議に対して追加で指導になってしまったふみは、隣にいる敦の頬を抓り『貴様ぁ
要らぬ事を言いおって‼︎‼︎後、私は貴様の物では無い』と怒り、「しゅみませぇん‼︎‼︎」と頬を抓られながら謝り、でも何処か幸せそうな敦に安吾は冷やかな視線を向けた。


「中島敦くん。君は武装生徒会の一員でありながら、その髪の色とその長いベルト。
服装と頭髪違反ですよ。

全く…ベルトは買い替え、頭は黒に染め直して来なさい」


安吾がそう言うと未だにふみに頬を抓られたままの敦に視線を向けると敦は困った顏をしながらやんわりと自身の頬を抓るふみの手を掴み、頬から外すと「何度も言いますけど、此れは地毛です」と言った。


「そんな派手な地毛なんて認めません。染めて来なさい」

「だから、地毛です‼︎ね、ふみさん‼︎」
『此奴、染めてます』
「彼女はこう言ってますが」
「うぇ⁉︎ふみさん⁉︎」

さっきの仕返しと言わんばかりにふみが間髪入れずに安吾に敦は染めていると言い、敦はふみの横で「地毛だって知ってるじゃ無いですか、意地悪‼︎でも好きです‼︎」と喚いているのをふみは完璧に無視をした。

「後、ベルトの長さもきちんとした校則指定された基準の物を使用するように」
「家にこれしか無いんです」
「購入しなさい」
「ベルトにお金を費やすならふみさんにお金を費やしたいです」
『なら、今日はハンバーグ定食が食べたい』
「一緒に食べましょう‼︎」
「喜ばないで下さい‼︎貢がされてますからね⁉︎」


“不純異性交際はダメです”とふみと敦に怒ると安吾は敦の隣にいる、敦の双子の片割れである少女・結に視線を移した。
敦と同じ髪色と瞳を持ち右目に眼帯をつけ、しょんぼりと肩を下げる結に安吾は口を開いた。

「中島結さん、貴女も双子の彼と同じく髪色と…眼帯は仕方の無い事なので良いです。
後は…貴女の鞄から押収した芥川くんの写真と言う不必要な物で指導対象です」
分かってますか?と尋ねる安吾に結は、しょんぼりしたまま「はい…」と返事する結に“やけに素直ですね…”と首を傾げていると突然、結はしゃがみ込み両手で顏を覆うとしくしくと泣き始めた。

「私のりゅーくんがぁぁぁぁぁぁ」
「“私のりゅーくんが”って言いますけど、貴女これ明らかに隠し撮りですよね?」
「違います。りゅーくんは写真が苦手でシャイなだけなんです。隠し撮りでは無いです」
「明らかに撮影の位置がおかしい物ばかりですが⁉︎良く、そんな普通に嘘がつけますね⁉︎」

『結、貴様、人の兄を何だと思っている。 』
「ダーリン」
『人の兄を旦那扱いするな』
「僕は、ふみさんを嫁だと思っています」
『風紀委員長。この人虎は髪の毛染めてます。今すぐ退学を』

叫び、喚くふみと中島双子に安吾は自身の頭が痛くなる様な気がした。

「そもそも、あっくんが“僕の事は、ほっといて先に行け”とりゅーくんみたいに言って犠牲になってくれたら私は登校出来たのに」
『龍之介でもそんな事言わないぞ』
「僕はふみさんにしかそんな事、言わないし」

其々バラバラと話すふみと敦と結に安吾は、何度目か分からない溜息を吐くと三人を無視し、三人の横でプクッーと頬を膨らませる錵花に視線を向けた。

「錵花さん。貴女は毎回毎回、持ち物検査で引っかかりますね…。
前回は…えっと…キャンドルでしたか?」
「儀式用の蝋燭なのだ」
「その前は…百科事典でしたか?」
「暗黒生物を召喚出来る魔導書なのだ」
「その前は……「儀式用の独眼孤高のギタリストを象った傀儡(ミニオンのスチュアートのぬいぐるみ)なのだ」……毎回毎回、何故こうも懲りないのですかね…」

頬を膨らませながら淡々と答える錵花に顳を抑え「学園に必要無い物は持って来ないで頂きたいのですが」と言う安吾に錵花は、「必要な物なのだ‼︎我が部活で使う物なのだ‼︎」とビシッと安吾に指を指した。

「部活って貴女確か…」
「オカルト部なのだ」
「……毎日、どの様な活動をしているのですか?」

痛み始めた胃をさすりながら錵花に問いかけると錵花は、よくぞ聞いてくれた‼︎と言わんばかりにバッと訳の分からないポーズ…所謂、中二病ポーズを決めると「多種多様なミサを日々、陰と陽が混じり合う時間帯から開いているのだ」とドヤ顔で言って見せた。

「…そうですか、そう言えば昨日、巡回をした際に貴女達の部室がある階の廊下で我が風紀委員会の委員が落ちていたバナナの皮を踏み転けると言う事件がありました。
もしかしてバナナを儀式に使ったりはしていませんよね?」

そう尋ねる安吾に錵花は「使ってないのだ」と答えた。

「昨日は儀式は行なっていないのだ」
「そうですか。「でも、儀式に使う前に新鮮なバナナかを確かめる為に食べたのだ」食べた…」

錵花は共に列に並んでいた同じ部活に所属しているふみと敦と中原に「ね?」と言う様に顔を見るとふみと敦は、うんうんと頷き、錵花の横に立っていた中原は、ややこしい事になったと言わんばかりの表情を浮かべていた。

『昨日のバナナは美味かった』
「流石は、食に対して関心が強いふみの選んだバナナなのだ。
儀式に使うつもりが全て食べてしまったのだ」

昨日のバナナの味を思い出したのかうんうんと頷く錵花とふみの同じクラスコンビに安吾は更に胃が痛くなるのを感じ「もういいです、次…」と諦めた様に次へと視線を逸らした。

「中原中也くん。貴方は髪色とカラーコンタクトと制服が風紀違反対象です」
「ぷぷぷっ、一人だけ制服が仲間外れなのだぁ。ダサいのだーっ」
「手前、クソ餓鬼。殴るぞ」
「弱い者イジメダサいのだー」

「手前ぇぇぇぇぇ…いい度胸してんなァ」


横で馬鹿にした様に中原を嘲笑う錵花に中原は顳に青筋を立て、拳をぷるぷると震わせていた。
そんな二人の光景に安吾は喧嘩が始まる前に中原に話を続けた。

「前から言いたかったんですが、君はまだ制服が届いていないのですか?」

未だにチェックのズボンにブレザー姿の中原に安吾は不思議そうに問いかけると「あ?まだ、寮に届いてねぇんだよ」と言う中原に対して安吾は「おかしいですね…」と答えると何故か横に居た太宰がブハッと吹き出した。

そんな太宰に太宰以外のみんなが不思議そうに珍獣を見る様な目で見つめていると中原は、ハッと何かに気がつき「手前、まさか…」と太宰を睨みつけた。

「寮に届いてた制服なら私が受け取って寮の部屋を掃除する雑巾にしたよ」と笑い過ぎて痛む腹を押さえながら太宰がそう言うと中原は「手前、この糞青鯖がぁぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎」と太宰に殴りかかりそうになっているのを安吾は慌てて止めに入った。


「取り敢えず、落ち着いてください‼︎」
「落ち着けるか‼︎‼︎手前、こっちは制服代払ってんだぞ⁉︎」
「中也、この間、雑巾で部屋掃除してたね‼︎自分の制服で作られた雑巾だと気づかずに‼︎」
「手前が“中也、雑巾無いの?なら私の貸してあげるよー”って言ったんだろうが‼︎」

怒る中也に「ウケるー」と巫山戯る太宰に中也の怒りは更に増した。

その横で錵花が「煩いのだぁ」と呟いていた。

「太宰くん。君だって指導対象ですからね?何なんですか?そのグルグル巻きの包帯は…後、君は出席日数も危ないんですからね」


「分かっていますか?」と中原を何とか宥めた安吾は、以前から知り合いである太宰に対して今迄の憂さ晴らしと言わんばかりに初っ端から不満をバシバシとぶつけ始めた。


「君は本当に私の忠告を聞かない。何度、授業に出なさい。保健室の包帯を盗まないでくださいと忠告しているにも関わらず、きみは…」


太宰に対してぽこぽこと怒る安吾に太宰は「え?私に対してだけ怒りが強くない?」と隣にいる紫織に話しかけたが紫織は関わりたくないと言う様に顔をふいっと逸らした。

そんな態度の紫織に太宰はショックを受けた様な表情を浮かべ、安吾は太宰にぽこぽこと怒り続けていた。



数分後、すこしスッキリした様な表情とぐったりした様な表情を浮かべる太宰と言う異様な光景に周りは少し変な空気が漂っていた。

「式部紫織さん貴女は…」
「こんな空気の後に私に回って来ますか…」

冷静な表情で風紀指導を続けようとする安吾に紫織は、すぐ様ツッコミを入れずにはいられなかった。

「貴女の使用している髪飾りですが…」
「やはり、続けますか」

紫織のツッコミを無かったものとした安吾に紫織は再びツッコミをいれたが安吾は無視を続けた。

「貴女の髪飾りは風紀違反です。我が学園は黒のヘアゴムしか許可しておりません」

「お分かりですね?」と言う安吾に紫織は表情を変える事なく「髪飾りは私の身体の一部です」と何処かの誰かさんが言っていた様な事を言った。

「いや、だから風紀違反なんですが」
「髪飾りは私の身体の一部です」

再び注意したが、再びそう答える紫織に安吾も負けじと「だから違反なんですが⁉︎」と言うと紫織はムッとした様な表情を見せると「武装生徒会の与謝野先生も髪飾りつけているじゃないですか、其方は許すのですか?」と言う反論に以前、与謝野と風紀指導で一悶着あった安吾は何も言い返せなかった。

『桜の髪飾りは式部さんの一部だ⁉︎其れをもぎ取ろうとするのならば私を1回、人虎を10回、太宰さんを50回倒してからにして貰おうか‼︎まず太宰さんからだ。』


少し離れた先でわーわーと喚く紫織過激派であるふみに「煩いですよ‼︎」と怒る安吾に太宰は「何で私から⁉︎」とツッコミをいれていた。


「てかね、あなた達は自分の立場を分かって居ますか?

揃いも揃って風紀違反なんですよ。
なのに何故、そんな風に堂々としていらっしゃるのですか?
分かってますか?風紀違反ですよ?」


怒る安吾に指導対象である七人は、まだ平然とした表情を浮かべていた。


「まぁ、良いです。長い話は、もうお終いにしましょう。
その代わり、皆さんには反省文を20枚書いて頂きます。
あ、太宰くんは30枚ですよ」


ズレた眼鏡を直しながら“宜しいですね”と言う安吾に七人は皆、抗議をし始めた。


『鬼』
「酷いです」
「酷い」
「メガネ」
「悪魔」
「人妻好き」
「堅物」
「誰ですか。人妻好きとか言った人‼︎‼︎」
『太宰さんです』
「あ、こら‼︎ふみちゃん‼︎」

素早く、チクったふみに太宰は怒ると安吾は「太宰くんだけ反省文50枚提出してください」とまたしても太宰だけ反省文を増やされてしまった。
わーわーと騒ぐ七人に安吾は「煩いです、決まった事ですので」と話しているとコンコンと指導室の扉をノックする音が響き渡った。
瞬時にその音に気がつき、静まる七人を他所に安吾は扉に近づき「はい」と返事をすると扉を開けた。

「すまない、大丈夫か?」

其処には教育実習生である赤髪で無精髭を生やした青年、織田作之助が立っていた。
安吾は目を丸くすると「織田作さん?どうしたんですか?」と織田作に尋ねた。

「先程、太宰から安吾が呼んでいるとメールをもらったのだが」

“何か用事か?”と言う織田作に安吾は自身に覚えの無い事に首を傾げると自身の後ろで風紀指導を受けていた太宰へと「太宰くん、何故織田作さんを呼んだんですか?」と言いながら振り返った。

だが、其処に太宰の姿は無く、また太宰を含めた七人の姿が丸々消えていた。

「え…?」
「?どうした安吾」

目を見開き驚く安吾に織田作は不思議そうに問いかけると安吾は「先程迄、此処に太宰くん達が…」と太宰達が居た場所を指差すと織田作は「あぁ…」と呟き、驚くべき事を口にした。

「安吾が扉を開けた瞬間に、其処の窓から太宰達は出て行ったぞ」

織田作が指を指す先には鍵が開けられた窓があった。

この学園の教員室と生徒指導室は一階にあり、窓から簡単に逃げ出す事が出来る作りとなっていた。
其れを分かっていた太宰は、ふみや敦達が怒られている隙にこそこそと織田作に“安吾が織田作を呼んでいる、生徒指導室で待ってるよ”とメールしていたのだ。
それを見た織田作は疑う事無く生徒指導室を訪ね、安吾に隙が出来た為に太宰達は【今がチャンス‼︎】と言わんばかりに逃げ出したのであった。


その事を理解した安吾は、怒りにぷるぷると震えると「太宰くん‼︎‼︎‼︎‼︎」と地団駄を踏む事しか出来なかった。





「それにしても抜け出して来て良かったんですか?」

紫織が隣を歩く太宰に問い掛けると太宰は「良いよー良いよー居ても反省文書かされるだけだからね。それに後は織田作がどうにかしてくれるさ」と紫織に笑いかけた。
紫織は「まぁ、それなら良いですけど…」と少し納得出来ない様な表情を浮かべたが自身を納得させる様に頷いた。

「うわぁーん。結局、りゅーくんのベストショットアルバムは没収されちゃった…」

落ち込む結に片割れである敦は「また、現像すれば?」と冷めた様に言うと結は、肩を落としながら「そうだね…最近の写真も纏めて現像する…」としょんぼりしながら呟いた。

「うむ。次の部活動は、どんなのが良いのか悩むのだ」
「バナナは止めろ。もう、当分の間見たくねぇ」

昨日の部活動を思い出しげんなりした様な表情を浮かべる中原に錵花は「お?昨日の活動は中々良かったと思うがオレンジ先輩はお気に召さなかったのだ?」と問い掛けたが中原は「もういいい…好きにしてくれ」と匙を投げた。

『お腹空いた…』
「ふみさん、いつも朝、登校したら購買行ってパン買いますもんね…」

“今から行きます?”と言う敦にふみはフルフルと首を横に振ると我慢すると言ったがグゥーとなった腹に敦は微笑むと「ね?僕が買うから行きましょう?」と言う敦にふみは、コクリと頷いた。
そんな敦とふみに太宰は「え?ふみちゃん朝、メロンパン食べてたよね?私の見間違い?」と言っていたが二人は無視をした。


わいわいと歩く七人の間を暖かな風がすり抜けて行くのであった。