銀ちゃんは仕事が無い日は、いつも家でゴロゴロしています。
そうでなければ、パチンコに行って大概負けてくるか、長谷川さんと言うダメオ仲間と昼から飲みに行ってるかです。
俗に言う、ろくでなしです。
何故、彼と付き合ってるのか。
よく聞かれます。
自分でもよく分からない時もあります。
“あれ?私はどうして銀ちゃんと付き合ってんだろう?”
と、ふと考えてしまうことがあります。
けれど、残念ながら、銀ちゃんのことは嫌いになれません。
「銀ちゃん、お菓子は1人ひとつまでだからね!神楽ちゃんと新八の分と合わせて3つだよ。分かってる?」
「分ーってるよ!今月ピンチなんだろ。だからトイレットペーパーすら買えねェんだろ。」
「そうだよ。銀ちゃんがパチンコで負けてくるから、今月我が家は皆、ジャンプでお尻拭かなきゃならないんだよ。みんな痔になったらどうしてくれるのよ。」
「え、マジでか!?ジャンプ!?マジでか!!?」
「ばか。嘘に決まってるでしょーが。」
銀ちゃんは、ろくでなしだけど、意外と純粋です。
目は死んでるけど、意外と純粋です。
「これでいいの?ホントにこれでいいのね?」
「いや、やっぱジャイアントチョコバーにするわ。」
「えー。さっきの美味しそうだったじゃん。」
「えー。そんなこと言うならもう銀さんスーパーから出れねェ。一生出れねェ。お前はアイツらにトイレットペーパー買って帰ってやれよ。」
「だから嘘だって言ってんでしょーが!トイレットペーパーくらい買えるわ!」
そして、甘いものに目がありません。
ひとつに絞れとか言われたら、本当にスーパーから出れなくなってしまいます。
だから、最終的にいつものやつにしなよ、って私がカゴに放り込みます。
迷ったら、もういつものヤツでいいんです。
「よし!じゃあ銀ちゃんはトイレットペーパー持って。私こっち持つから。」
「これで我が家のケツの穴は救われたな。」
「誰が、トイレットペーパー切らすか!ケツの穴の代わりに食費削ってるんで。銀ちゃん、ちゃんと働いてよ?」
「わかったわかった。」
なんて、面倒臭そうに返事をしながら、さりげなく私の手からスーパーの袋を奪います。
不器用だけれど、それはそれは、とても優しいのです。
そんな彼が私は大好きです。
“あれ?私はどうして銀ちゃんと付き合ってんだろう?”と時々思いますが、それでも銀ちゃんへの気持ちは変わりません。
これでいいのです。
まあ、
トイレットペーパーが買えなくなったら考えるけど、ね。
2016.6.21
銀さんでSS「トイレットペーパー」
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