「朝ごはんできたよーっ!皆起きてー!!」

万事屋の今日の朝ごはん担当は私です。
皆は昨日夜遅くまでお仕事だったので、爆睡しています。
普段はお家に帰る新八も万事屋にお泊まり。
3人はここに辿り着いてから、ぱたり、と死んだように眠ったのでしょう。
想像したら口元が緩みます。

「神楽ちゃーん、新八ー!!」

神楽ちゃんは、かろうじてソファの上。
新八は眼鏡だけソファの上に置いて、何故か自分はソファの足元。

「銀ちゃんも起きて!!」

銀ちゃんは、布団を引こうと思ったのか和室の引き戸を開けて倒れてしまったようで、リビングと和室の間、ちょうど半分半分という形で寝ていました。

「よくこんなところで寝れたね。おはよ。」
「ん…。…はよ。イテテッ……あーなんか身体中痛ェ…」
「こんなところで寝るからでしょーが。後で湿布貼ってあげる。」
「え、マッサージじゃねェの?」
「昨日仕事頑張ったからって調子に乗らないの。」

神楽ちゃんと新八は、もう私の作った朝ごはんを食べ始めていました。
むしゃむしゃ、ぱくぱく。
そんな効果音が本当に聞こえてきそうなくらい、それはそれは美味しそうに食べてくれます。
作った甲斐があるというもの。
銀ちゃんもマッサージしてくれと駄々をこねていましたが、ブーブー言いながら味噌汁に手を伸ばしています。
万事屋の皆は、食いっぷりがいい。
ただ、ご飯を食べること。
それだけのことがこんなに幸せなことだとは、当初は私も万事屋の皆に驚かされっぱなしでした。

「皆、ちゃんといただきます言った?」
「「「いただきまーす!!!」」」

綺麗に揃った声は仲良しな証拠。
万事屋の皆は本当に仲良しです。
皆、不器用で素直じゃないから、分かりづらいけど。

「うめェ。今まで飲んだどの味噌汁よりうめェ。」
「えぇ?そんなに?本当?」
「マジで。アレだな、昨日金入ったからお前が欲しがってたアレ、買ってやるよ。」
「ん?アレ?何だっけ?」

隣に座る銀ちゃんが、味噌汁を啜りながら言うアレとは何のことなのか。
私が欲しいものって一体なんだったっけ?
全く思い出せません。

「バカ、オメェ覚えてねェの?あんなに欲しがってたじゃん、カレンダー。」
「あ。カレンダーね。いや、いいよ。」
「なんで?」

銀ちゃんがわざわざ買ってくれると言ってくれるなんて、とても嬉しい。
嬉しいけれど、すっかり忘れていたし、もういいや。
だって、



「カレンダーすらない家もいいかな、って。」


貴方たちと居ると、今日がいつか、なんて、どうでもよくなっちゃうんです。




2016.6.21
銀さんでSS「カレンダー」



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