「もーーあかん。北さん今日もめちゃくちゃかっこよかった。無理…好き…しんどい…尊い」
「早よ日誌かけや」
「治無理やろ。どうやって練習してるの。目が合うやん。あったらどうすんの。あの目で見つめられた瞬間ボールなんか見えへんやろ…」
「あほか。そんなんでバレーできるか」
放課後の教室、日直で二人で残り。
片想い相手が北さん北さんいうのを聞くのは心地よくない。
何やねんよりによって北さんて、敵わんやん。
「完璧すぎるやん、なんなん、何食べたらああなるの?」
顔を伏せたまま小さな声でいわれる。
そんなん知らん。俺に聞くな。
「完璧な人やろなあ。きちんとしてて、成績良くて、でも派手じゃなくて、性格良くて、家庭的な…そんなん一生無理やん。隙がなさすぎる…あ〜何食べたらああなれんねん!無理。遠い人過ぎて無理。もっとダメなところあればせめて私でもいけるかもって思えるのに、すべてが完璧だから声かけるのすら躊躇う」
「欠点だらけのひとでなしがご所望やったらツムでええやん」
「自分の片割れに対して何てことを言うん」
よくもまぁそんなに褒められるなぁという北さん語りを聞くに堪えられず、適当にツムを進めてみたら、けらけらと笑った。
「侑は確かに感情に素直やし、凄いとこと子供か!ってとこあって、人間らしいなあ。でもあれはあれで極端や。人としてどうなん?って思うところもあるけど、逆になんでそんなにできるの?ってくらいストイックなところがある。侑は北さんと真逆やん。私は普通やから、2人には合わん」
こいつのこういうところが、心地いい。双子で、全国トップクラスのスポーツマンで、まぁ顔もあって目立つ俺らにとって知らないところで勝手に判断されたり勝手に決めつけられたり、イメージでものいわれること多い中、大して仲良くもないころから何故か自分や侑をしっかりと見てくれている。そして、普通こっぱずかしくて言えないような人のいいところをこうやって素直に口に出す。俺から見ればこいつも十分普通やないわ。
せやったら、
「ろくでなしでも完璧人間でもない、普通な俺が1番合うと思うんやけど」
どや。
(あんたも普通やない)