その瞳に囚われた�@(三島一八)

【その瞳に囚われた�@】

別れよう。俺がこれからやらなくてはならない事に、お前は必要ない。

三島財閥頭首風間仁と私は同級生で付き合っていたのだけど、一ヶ月前に私は大失恋した。

「あんな悪人に成り下がった奴なんて忘れて、新しい恋をしなさいよ」

親友はそう言う。けれども嫌いになって別れたんじゃなくて、一方的に告げられた別れ。

仁は現在世界に対し宣戦布告を行うと共に、各地で戦闘行為を行っていた。

あの別れはきっと、私を巻き込まないための仁の気遣いだと分かっている。

だから私は仁の事を今でも忘れられないでいた。

そんなある日私はあるパーティーに誘われた。それは新興企業のG社の戦勝パーティー。

現在行われている仁が起こした戦争の、G社は救世主だった。

親友の父親はバイオ関連の巨大企業の会長で、G社とは深い繋がりがあった。


「すごい」

セレブな親友と違って私は一般人。仁と付き合ってた時も、こんな豪華なパーティーに出席したことはなかった。

一流ホテルの広間で行われているパーティーは、著名人やモデルなどなんともきらびやか
だ。

でも私はその雰囲気に尻込みしてしまい、会場の隅に用意された休憩用の椅子でひとり眺めていた。

「あ、あの人の存在感すごいな」

会場のある一点に私の瞳は釘付けになった。

そこにいたのは白いクロコダイル皮のスーツに身を包んだ長身の男性。

彼はそこにいるだけで、他を圧倒するような存在感を示している。

確かこのG社の代表で、『世界を救う英雄』と言われてる人。確か名前は……。

「さっきから人をジロジロと見て、文句でもあるのか?」

「えっ!!三島、一八さん!?」

しばらく見惚れていたら彼が私に近づいて来て、今目の前で私を見下ろしている。

彼の紅い左の目。深紅の瞳がとても綺麗だと思った。

「あ……」

それと同時に胸がざわざわと騒ぎ出す。

一体何故?

彼に仁の姿が重なっていた。

「だから人の顔をジロジロと見るな」

「す、すみません!!あの……その、知り合いに似ていたもので」

「何?」

不機嫌そうな表情の彼だったが、私の言葉に一瞬驚いたような表情をした。

「なるほどな。お前はあいつの女か。面白い……」

だがすぐに彼は何かに気づいたのか、薄く笑いながら私を見る。

「っ!」

グイと顎に手をかけられたかと思うと、いきなり重なる唇。

まるで雷に打たれたように、私は動けなかったーーーー。


不知夜月