悪魔の微笑み

俺が好きな人は、俺の嫌いな真田副部長と付き合っている。嫌いとまではいかないが好きな人をとられたのだ、嫌いと言わせてくれ。

何も部室でまでいちゃつかなくても良いじゃないか、副部長も俺らに怒る時みたいに突き放せば良いのに、可愛らしく頬を赤くしちゃってなんだよ。

すると結城が座って休憩している真田に跨り、じゃれつき始めた。


「む、辞めろ遥。赤也が、まだ…」

「ん…良いのっ…」


部室から出たかったのに、二人のキスに魅入ってしまい切原は動けないで居た。

ふと結城と視線が合い、流石にこの先を見て居られなくなった切原は部室を後にする。


「あんまり赤也をいじめるな、遥」

「可愛い子って虐めたくなっちゃう、ん?もちろん弦一郎も好きだよ」

「度が過ぎるぞ」

「はぁーい」


―――
――



真田副部長も嫌そうな顔せず、遥とキスしてたし俺の気持ちを踏み躙って二人して楽しんでるのかよ。


「あーかや、」

「遥センパイ…副部長の所居なくて良いんスか」

「なーに?赤也は本当は私と話したいでしょ??」


全て見透かされてるせいか、次の言葉を見失ってしまう。その間だ結城は切原に近づき髪の毛で遊ぶ。


「今、自主練の時間でしょ?ちょっと私と遊ばない?」

「何言ってんスか遥センパイ…」

「弦一郎は外周に行っちゃったし赤也がダメなら……それとも精市の所行こうか…ん」


部長の名前が出た所で、俺は遥の事を抱きしめた。遥は嬉しそうに俺の背中に腕を回し耳元で怪しく囁く。


「ここじゃ、見られちゃうから違うとこ…連れてって…赤也」


耳に心地よく響く声が、切原の理性をゆっくり壊していく。

部室の建物の陰に二人は隠れると、壁に結城を押しつける。


「ねえ、赤也…私は赤也、好きよ」

「はぁ…アンタって、ほんとどこまでもズルいんだな」

「早く赤也…ちょうだい?」


結城は切原の首の後ろに手を回し、顔を近づけて悪い笑みを浮かべる。


「今だけは、俺のモノって思っていい?」

「うん、良いよ赤也」


唇に噛みつくように切原はキスを貪った。その唇は少し震えていて嬉しそうな目をして切原は結城を見つめながらキスをした。


「んんっ、あかっ…や…痕はダメ…」

「俺のモノなんだから良いんスよ」


首筋を強く吸い上げ結城に紅い痕を濃く付けては、切原はとても綺麗に笑った。



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