早く大人になりたいよ


※詐欺師 大学生設定


隣の家に住む大学生に、時折こうして高校三年生である結城は勉強を教えて貰っていた。


「で、ここが…って聞いとるんか遥」

「あ…ごめんなさい、ちょっとボーッとしてました…」


隣の家に住む仁王雅治さん、頭も顔も良くて家が隣で小さい頃から私は彼に想いを秘めている。そして進学を考えている私に仁王さんは、暇な時勉強を教えて貰っているのだ。


「ちと、休憩するかのう?」

「あ、はい…」


問題集を片手に遥のベッドに仁王は腰をおろし、用意された飲み物を口に含む。


「遥、どした?」

「えっ?」

「はは…勉強は一旦辞めるか」


問題集にさり気なく付箋を貼ると、机の上に置き遥の方を向く。膝の上に置いていた遥の両手を自らの手で包む。


「誰の事考えて、現を抜かしてるんじゃ」

「仁王さん、分かってて聞いてますか?」

「はは、読心術までは心得てはおらんけど。遥が何考えてるかくらいは分かるぜよ」


俺の事だろ?と言った仁王さんは、驚いた私の顔を見てやっぱり、と付け足す。どうやら数日前から気づいていたらしい。


「俺の事……好きか?」

「う…はい…」


曖昧ながら言ってしまった。横目で仁王さんを見ると、どこか嬉しそうな怒ってはいないようだ。勉強に集中出来ない理由が自分に恋心を抱いていたなんて迷惑にも程がある。

沈黙が続いたがそれは暫くは続かなかった。


「受験生じゃから恋愛に気をとられる、ってなると遥のお母さんに絶対合格させるっ意気込んだ俺の身にもなってくれ」

「そんな事お母さんに言ったんですか?」

「当たり前じゃき、お前さんが俺と同じ大学に行きたいって言った時から決まってるんよ」

「え、え?仁王さん…私よく分かんない。仁王さんは暇だから私に勉強教えてくれてるんじゃないんですか?」


再び遥は机に向かわされ、参考書片手に持った仁王を見つめる。


「合格したら、何処へでも連れってやるぜよ。ほら勉強しんしゃい?」


耳元で囁かれ驚きと嬉しさが混じり、シャーペンを持つ手が震える。

悪戯っぽく笑う仁王と顔が合っては遥はノートに顔を向け、顔を赤くなっているのが仁王にバレないように勉強に向かうのであった。


そのあと大学に無事現役で合格し、仁王とお付き合いするお話はまた今度。


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