02

放課後になり、誰も居なくなった教室で仁王は机に顔を伏せ完全に死人モードがオンになっていた。

丸井は朝練での真田に怒られた事もあり先に部活へと消えたのだが、仁王は花吐き病の事もあり気分があまり良くないらしく部活へとまだ行っていなかったのだ。

するとそこに委員会の仕事があった柳生がふと仁王のクラス前を通り、一人教室に残っている彼に気づき教室に入ってきた。


「仁王君、部活に行かないのですか?」

「やーぎゅ、今日は俺休む」

「どこか具合でも…」

「そういう感じ、今日はちっと無理…」


柳生はそうですか…。と言葉だけを残して去って行ってしまった。

誰も居なくなった教室に仁王だけになり、外ではテニス部が外周しているのだろうか掛け声をしながら走り込みをしている。

ふと朝の事を思い出し、吐きそうになった仁王は急いでトイレの手洗場へと急ぐ。

紅い山茶花はすぐに洗面台に溢れんばかりに溜まる。


「奇病にも程があるじゃろ、これは…」


トイレにあるゴミ箱に山茶花を捨て、教室に戻り自分の鞄を取ると学校を後にする。


―――
――



その仁王が出て行った数分後に結城は隣の教室から出てきた。仁王が居たことはもちろん知らない。

放課後になると教室に残り勉強をしてから、結城は帰るのである。


「今度のテストも良い点行くと良いなあー!……ん?何か落ちてる?」


廊下の中央に物がおちている事に気づき近づくと、それは見事に咲き誇った綺麗な紅い山茶花だった。

手に取ると華は散ってしまい、足元に花びらが落ちる。


「わわ、余計に散らかしちゃった、片さなきゃ」


落ちた華を拾い集め、近くにあるゴミ箱へと華を捨て急いでその場を後にする。

だがB組の前で結城の足は止まり、仁王の席あたりを見て深いため息をする。


「もう、部活行っちゃったよね」


何を思ったか急に苦しくなり咳が出る、口元押さえ咳が出るかと思いきや出てきたのは嗚咽と先ほど落ちていた紅い山茶花だった。


「え…やだ、何これ…」


ふと朝のニュースを思い出す、突如花を吐く病気。余りニュースなど見ないが自分がそんな奇病になるわけない!くらいの考えだったのだが流石に身震いをした。

急いで花をゴミ箱に捨て、携帯で花吐き病について調べながら急ぎ足で帰る。

調べれば調べるほどに、顔が青ざめる。


「治すためには、両想いになる…こと?」


そんなの無理に決まってる。


「私は今、幸村君と付き合ってるのに…どうしたら良いの…」


付き合ってるからお互い両想いなんて、そんな優しい世界はここにはない。

表では私が告白してOKしてくれた、とでもなっているのだろうが本当はその逆だ。かの立海大で有名な幸村君からの告白を私はただ断れなかったし、嫌いでもなかったから付き合っている間に好きになると思っていた。

だけどこの華はきっと、私の本当の想いを知っていて現れたんだろうね。


「仁王君…」


私は貴方の事が好きなんだよ。



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