「仁王くんの事が好きです、付き合ってください」
結城の告白の声が辺りの建物に跳ね返り響く。
お相手は仁王雅治、女を取っ換え引っ換えしてるだの、ヤリ〇んだの色々変な噂がある彼を好きになってしまった少女がここに一人居る。
「ん、ええよ。結城さんだったかのう?これからよろしく頼むぜよ」
「え、あ…あの…」
「すまん。俺これから部活あるんじゃ、結城さんも早く帰りんしゃい…それじゃーの」
状況が飲み込めないまま告白をあっさりOKされてしまい、結城は瞬きを数回繰り返して瞬時にその場にしゃがむ。
「ええぇぇ、あの仁王くんとお付き合い出来るの?!やった、やった…」
そんな喜びの余り小さくガッツポーズしてる結城を物陰から仁王は覗いていた。
「はーーーー。可愛すぎじゃろ、てか何じゃあの小動物みたいな動き…ダメだ詐欺師仁王雅治。しっかりするぜよ」
顔をペシペシと叩き、我に帰ると部活へと向かった。
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「あの、仁王くん…今日部活無いんだよ、ね?良かったら一緒に途中までで良いので帰ってもらえないで…しょうか」
「なんで、そんなたどたどしいんじゃ。ええよ俺も結城さんと帰ってみたかったナリ」
「私の事は遥って呼んでもらえたら嬉しいで、す…!」
「ほんじゃ、お互い名前呼びにするかのう」
帰路の途中だが仁王君は余りこっちを向いてくれないみたい、やっぱり遊び程度なのかな私って…。
きゅるん、って音でもどこからか鳴るんじゃないんかのう…。てか俺の事見すぎぜよ心臓が持たん、素っ気ない態度はダメじゃき。
「そういえば、俺のどこが好きなんじゃ?」
「え、えっと…」
顔が真っ赤になったぜよ失言だったかのう?
「えと、ま、ま…雅治君の事は全部好きなんですけど…その気配り上手な所とか、隠れて努力している所とか…」
こ、後半は同じクラスの柳君に聞いた情報だ…!私やらかしてしまった!
「あー…可愛すぎるぜよ。もう我慢の限界じゃ」
「へ?……っ!!ま、雅治くん?!」
大通りに近いというのに、仁王はいきなり結城の事を抱きしめてきたのだ。それも若干モフモフしているようにも見える。
「遥の事は前々から好きだったんじゃ…こんな愛しいのは俺だけのものじゃ…」
「ま、まさは…るくん??!!」
仁王の腕の中で言葉による衝撃と抱きつかれた事によって、結城は仁王の腕の中で真っ赤になりながら顔を隠していた。
「遥が可愛いのが悪いんじゃ、離してやらんぜよ」
真っ赤になって、パタパタと暴れたが仁王は離してはくれませんでしたとさ。
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