君は俺のもの

昼休みになり結城悩んでいた。
念願の白石と付き合える事になり、はや五ヶ月が経っているのだがこれといって彼氏彼女という事を何一つしていない。

寧ろ白石君と同じクラスの忍足君との方が仲良くなってきた気がしなくもない。


「なんや、結城は白石と付き合って…んぐ?!」

「しーー!忍足君声大き過ぎや…!」


声の大きい忍足の口元を慌てて自らの手を当て塞ぐ。白石と結城の席の距離は極めて近く変な話を聞かれたら不味いのだ。


「白石と話せばええやん」

「やって、白石君ええ人やし好きなんやけど何か話しづらいねん」

「なんやそれ……なー!白石!!」


何で呼ぶんや!、と止めようとしたが時すでに遅し白石が忍足と結城に気づき、こちらに近づいてくる。

一瞬白石君嫌そうな顔したように見えたけど、私の気のせいやろか?


「なんや謙也」

「遥がな、白石とお話したいんやって」

「そうか、じゃあ謙也そこ場所代わり」


先程まで手を伸ばしても届かなかった距離が急に距離が近くなり、それだけなのに心臓が煩く騒ぎ出す。白石と余りこうして面と向かって話したのなんて片手で数えるくらいだ、なんて結城の脳内は目まぐるしく働かせていた。


「あんまり遥と話した事無かったなあ」

「う、うん…」

「髪結んでないのもかわええなあ」


自然な形で白石は結城の髪の毛をすくい、指で遊ぶ。さらに白石との距離が近くなり再び鼓動が早くなる。


「し、白石君は私が好きなん?」

「なんや自分、そんな事疑問に思ってたん?好きに決まってるやん」


思い切って聞いたが、さらりと答えられてしまい何も言えなくなる。嬉しいような心のどこかが曇るような胸の何処かがモヤモヤする。


「わからん…白石君が私の事本当に好いてると思えへん…あっ」


つい言ってはいけない事を言ってしまった気がする、付き合ったからお互い好きでない場合もあるかも知れないのに私は白石君に何という事を言ってしまったんだ。


「じゃあ、俺が遥の事を好いてると分かればええんやな…簡単やで」


白石の後ろに居る忍足にふと結城の目が行ってしまい、それを見逃さない白石が結城の顎を優しく掴むと自分の方へ向かせる。


「なあ…遥は謙也がええんか」

「そ、そんなことない…!私は白石君が好きやから告白したし…OKしてもらえたけど何だか白石君に迷惑かけたんかと思ってモヤモヤしてたねん…謙也は悩み聞いてくれただけや…」

「頼むから俺だけ見てくれへん?」


言い終えると白石は結城の唇を奪う。
何が起きたか分からないまま呆気なく結城は白石に唇を奪われ、それを何となく見ていたクラスのみんな全ての視線が時間が止まったかに見えた。

唇が離れて分かった、みんなばっちり見てた。


「はは、なんか俺ら公認のカップルやな」


顔が赤くなるのが分かる。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい、穴があったら今すぐ入りたい。


「白石君の……えっち!」

「照れた遥も…とっても可愛ええで」

「照れとらんし!」




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