のんびり旅行記・集う詩の章

魈・花香に誘われて


お前か


魈は何してるの?


何てことはない。見回りついでに所用を片づけていただけだ


何だか甘い匂いがするような……?


……これか?


出た、ラズベリー!


…………


これも珠蓮用?


分かりきったことを……


ごめんごめん。相変わらず仲がいいようで安心したよ


……そうだな。これもお前のおかげだ


えっへん。なーんてね


我はもう行く。夜は妖魔が最も活発になる時間だ。お前も気を付けるように。何かあれば我の名を呼べ。いいな?


分かってるって。いってらっしゃい、魈


ああ
















珠蓮・ひそやかな苦悩
ストーリー解放条件 香菱・あまあま香膏、魈・花香に誘われてクリア後



やっぱり、これをつけるのは……。
でも、せっかく頂いたものですし……何より……


珠蓮? どうしたの? 何か悩み事?


た、旅人さん……! あ、えっと……その……実は、胡桃さんからとある香膏を頂きまして……


それってもしかして……杏仁豆腐の?


! どうしてわかったのですか? その通り、これは杏仁豆腐の香りを込めた香膏です


まだ使ってはいないのですが、容器の中から、とても甘くて優しい匂いを感じます。ふふ、正に杏仁豆腐ですね


あ……ごめんなさい。杏仁豆腐のことになると、つい……


大丈夫だよ。でも、そんなに好きなのに使わないの?


使わないというより……使えない、といいますか……


使えない?


旅人さんもご存じの通り、私の身分はこの璃月では上等なものです。故に、身の回りのものにも気を配らねばなりません。
聞けばこちらは鶯さんの試作品とのこと。いいものではありますが……商売のことですもの。特定の商人に肩入れするようなこともできません。この香膏は……私の手元にある以上、日の目を浴びることはないでしょう……


そう言いながらも、珠蓮の目はどこか名残惜しそうだ。本当は使いたいのだろう。けれど彼女の身分がそれを許さないとは難儀なものだ。

ふわりとそよぐ風が可憐な花のような、甘やかな果実のような香りを運んでくる。清廉な白木蓮を思わせる香りに、可憐な甘さが加わったその香りをどこかで嗅いだ気がする。どこだったのかを思い出たことで、閃いた考えを珠蓮に提案をすることにした。


珠蓮、香膏つけてる?


はい、つけておりますが……


それ、誰からもらったの?


魈です。少し無理を言って作ってもらったんですよ


やっぱり……


それじゃあ、また魈にお願いしてみたらどうかな? 今度は杏仁豆腐みたいな香膏を作ってって


魈に……?


うん。珠蓮のお願いならきっと聞いてくれるんじゃないかな


! すごいです、旅人さん! そうと決まれば、私、さっそく魈にお願いしてきます!


うん。気をつけて


ふふ、そうです。せっかく頂いたので、これは魈につけてもらいましょう


え、魈に……?


はい! きっと魈も気に入るはずです。だって、杏仁豆腐なんだもの


すっかり気を取り直した珠蓮はそのままふわふわと踊るような足取りで魈のところに行ってしまった。一度こうと決めたらそうは変わらない珠蓮を止めるのは至難の業だ。もっとも、止める気があったのかは重要ではないけれど。


ごめん魈……頑張って












魈・甘夢に揺蕩う
ストーリー解放条件 珠蓮・ひそやかな苦悩クリア後



どうしても我につける気か……?


そう言ってるでしょう? なぁに、嫌なの?


……


二人ともどうしたの?


あ、旅人さん。魈に香膏を頼んだのはよかったのですが……魈ったら、あの頂いた香膏をつけるのは渋ってるんですよ。


もったいないと思いませんか? せっかく杏仁豆腐の素敵な香りなのに……これならいい夢だって、見れそうなのに……


…………


しゅんとした珠蓮の様子を魈も気にしてるのが分かる。珠蓮の善意を跳ねのけるのは魈には無理そうだね


……そこまで言うのならば分かった。使わせてもらう


え、本当……?


ああ


ほんとのほんとに?


嘘をついてどうする。本当の本当だ


! 嬉しい……!


魈の心も今よりきっと穏やかに過ごせて、私は魈に会う度に杏仁豆腐の香りを感じられる。いいことばかりね


似たような香膏が欲しいのではなかったのか?


それはそれで、これはこれなの


どっちも大事だから忘れちゃだめだよ


お前がそう言うのなら我は覚えておこう


ふふっ、絶対なんだからねっ


ああ


本当に二人は仲がいいな……。
一件落着したみたいでよかった
















珠蓮・風そよぐ灯りに
ストーリー解放条件 魈・甘夢に揺蕩う、閑雲・感謝の言葉クリア後、に燮苓湖へ向かう



あれ? 二人ともここで何してるの?


見ての通り、我は珠蓮の付き添いだ


こんばんは、旅人さん。
最近よくお会いしますね? 璃月にもよく帰ってきてくださっているようでとても嬉しいです


こんばんは。
璃月はいいところだからね。つい足を運びたくなるんだ。
っと……珠蓮が持ってるのって……イグサ?


真君がモンド旅行のお土産でくださったのです。他にも風晶蝶やミントベリージュースなども頂いたのですが……真君がこちらのイグサは夜に見るとより一層楽しめると仰って……せっかくなので魈を誘ってお出かけすることに


あ、よかったらジュースはいかがですか? まだたくさん残っているのでご遠慮なさらず


ありがとう。お言葉に甘えていただこうかな


爽やかなミントドリンクに甘いラズベリーが混じったドリンクは何だか優雅な香りがした。留雲真君が珠蓮の土産にこれを選んだ理由がわかったような気がする。


綺麗ですね……月も星も出ない夜だとしても、この光があれば人々は心に温もりを感じることができるでしょう。
まるで、璃月の霄灯のように。このイグサも人々の願いを受けて、こうして輝いているのでしょうか……?


魈はどう思う?


それは……わからない。


だが……これも悪くはないと思う


うん……旅人さんは?


俺もそう思うよ。きっと霄灯が人々の願いを運ぶのと同じように。
このイグサも道行く人々を見守ってくれてるはずだから


はい。
真君に改めてお礼を申し上げないとですね。本当に、素敵なお土産をいただきました