ふよふよ

「花京院さあ」
「うん」

ふよふよ

「また会いたいとは言ったけど」
「うん」

ふよふよ

「まさか幽霊になって会いに来るとはなあ〜」
「君は幽霊まで見えるんだね」

前見た時よりだいぶ色が薄くなった花京院はさっきからふよふよと空中に浮いていた。
幽霊って本当に透けてるし足ないんだ。

「ここはファンタジーやメルヘンの世界じゃあないんですよォ〜」
「もうちょっと喜んでくれてもいいんじゃあないかな?」
「嬉しいけど、欲を言うなら生きてる状態の君に会いたかった」
「それはできないなあ」

つれないこと言わないでよ、とふざけて花京院の肩をぱしりと叩こうとしたのだが私の手は彼に触れることはなかった。
急に現実に引き戻される。

「・・・・・・やっぱ触れないか・・・」

ぼろぼろ

「泣くなって」
「これが泣かずにいられるか〜っ・・・、・・・」

ぼろぼろ

「なまえ」
「なに、」
「旅の途中で・・・君の気持ちにはっきり答えられなくてごめんね」
「・・・・」

「全部終わったからちゃんと言えるけど。僕は君のことが好きだったよ」
「・、・・・・なんで過去形なの」
「だってほら、いずれ君は立ち直らなきゃいけないから。いつまでも僕が原因で立ち止まらせるわけにもいかないし。」
「・・・そういう変な優しさ好きだったのになあ」
「変かなあ」
「もう感情ぐっちゃぐちゃだよ・・・すっごい涙出てくるし。なんか悔しいし」
「ねえ、もう少しここに居ていい?」
「一生ここに居て」
「それは無理かな」
「そこは嘘でもいいよって言うんだよ、花京院」

あはは、なんて誤魔化すように笑うんじゃあないよ、もう。


花京院