アズール・プレゼングロット







「監督生さん少しお時間いいですか」

とアズール先輩に話しかけられたのが1時間前。視聴覚室に連れて行かれパワーポイントを立ち上げ、ペラペラ話し始める先輩はいつもより早口で意図が読めない。
内容はラウンジの今後の成長から珊瑚の海の良い所や観光地など。いつもより眼鏡のブリッジを上げる頻度は多いし、目は泳いでて合わせてくれない。私ははてな顔で1時間くらい聞いてたけど終わりが見えなさそう。ようやく一息ついたタイミングで口を開いた。

「…先輩、ようするに何が言いたいんですか?」
「えっと、それはですね…」

少し俯きがちに眼鏡のブリッジを上げた先輩が顔を上げて目が合う。さっきまでの饒舌さはどこかに消えて口をパクパクさせている。そして頬は少しだけを色付いていて眉は下がっていた。どうしたんだろ…?

「つ、つまりはまぁ、貴方の事がっ、好きなんです」

ふしゅうと効果音が付きそうなくらい真っ赤になった先輩は50ページくらいあるプリントの束鞄から取り出した。そしてそれを私に渡すと、何も言わずに教室を後にした。
プリントを見ると「僕と付き合うメリット」とタイトルが書かれていた。ご丁寧にグラフや統計までついている。
最近、目の下にくまがあったのはこのせい?私は先輩が徹夜でこれを作ってる姿を想像してきゅんとしてしまう。
…次会ったら、開口一番に「私も好きです」と言おう。