Corona.プロローグ
 少女は掟を破り、その夜一人の女になった。女は小さな身体で精一杯男を受け入れ、鋭い痛みを享受する。男は愛する少女が自らの手で女へと花開く姿に至上の悦びを感じた。
 身も心も一つであるのに、夫婦の契りを交わせない哀しみを夜の闇へと追いやる。この一時が永遠であるかのような錯覚に陥り二人は深く深く愛し合った。
 罪はその身に宿り、やがて女を死へと追いやった。女が手にする二輪の赤いカーネーションだけが真っ白な世界を彩っていた。


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