「暖かいなぁ」
「ねぇ」


善逸とナマエは炬燵に入り寝転んだ。どこからか除夜の鐘が聞こえてくる。善逸に抱き寄せられると、ナマエは自分も腕を回し彼の胸元に顔を埋めた。


「こんな幸せな年越し、私初めて」
「はい可愛い。俺のお嫁さんは世界一可愛い」


善逸はナマエの頭に軽く口付ける。次に頬、目蓋、耳。それが何ともくすぐったくナマエは笑っていたのだが、次第に善逸からの口付けは深いものへと変わっていく。


「…ねえナマエ」
「え、」


絡められた足。見つめてくる瞳は情欲の色が見え隠れしている。(まずいな、これは…)とナマエは思う。これはおそらく、ちょっとやそっとではやめてくれないだろう。


「ま、待って。ここ炬燵よ? 」
「うん」
「もうすぐ年越しよ? 」
「そうだね」
「えっと、その…」


どんなことも、善逸には今ここで手を出さない理由にはならない。「ナマエは嫌か…? 」とナマエに聞く。嫌なわけはない。ただ、いつもと違うこの場所が気恥ずかしいだけである。もちろん、善逸もそれをわかってわざと言葉にさせようとしているのだ。


「…嫌ではないわ」


狭い炬燵の中で、もう逃げ場はない。年の暮れ、二人で煩悩に塗れてしまえばいい。


煩悩さえ愛して