今の俺を作り上げ形成しとるモンのほとんどがバレーボールで、別ん事してても常にバレーボールのことが頭の中にあった。朝起きて眠気に耐えられんくなりそうな状態でもまずはボールを触って今日の指と爪の調子を確かめ、登校中のバスん中で治と今日の朝練メニューの話をし、授業中ちょっとでも暇になればチームメイトをどうすればもっとエエようにできるかとノートの端っこにトス回しを考えてはメモをし、家に帰って夕飯食べたら食後の運動やて言うて治と近くの公園に行って対面パスをして、寝る前には寝っ転がって直上パスを100回やってから寝る。それが俺の毎日やったのに、それなのになんでや、なんで俺の頭の中にあるバレーを押し退けてお前が出てくんねん。

あーもうホンマ意味わからへん、と心の中で独りごちて、机の上に突っ伏して顔を隣の席に座る彼女に向ける。俺の頭をなんでか支配しつつあるクラスメイト名字名前を少し睨みつければ、俺の視線に気づいたんか眉と唇を歪ませ不快そうな顔で何?と一瞥してきた。


「別に何もあらへんし」
「じゃあこっち見ないで」
「なんで見たらアカンねん」
「え、不愉快」
「めっちゃ腹立つ!」


ほんなら見いひんわ!と彼女とは逆側に頭を向けた。何で俺がそんな言われなアカンねん、とひとつ舌打ちを鳴らす。嗚呼、めっちゃ気分悪い。

名字は席替えした3日前の初めからこんな感じやった。席移動して自分の新しい席に腰掛けて誰が俺の隣来るんやろかとちょっと胸を踊らせワクワクしてたら、クラス替えして2ヶ月経つんにまだ一回も喋った事ない子が来た。

俺の方を見向きもせず教科書やら荷物やらを机の中に入れとるもんやから、なんやひとり気不味さを感じ苦笑いが溢れた。けどまぁ夏休みまでこの席やし、いっちょ仲良うなったやろやん!と意気込んで笑顔で「よろしゅうな」って手を差し出せば、名字は「あんまりよろしくしたくない」と眉間に皺を寄せて俺の手を取ることはなく、再び荷物の整理を始めた。大抵の奴とはソコソコの関係作れると思ってただけに名字の反応にめっちゃショックで、席替え終わった後のLHRの内容は頭の中に一切入って来んかった。

名字は誰に対してもこんな奴なんか?と反対に向けた顔を彼女に向くよう元に戻して、ちょっと様子を見てみる。暫く見とったら、どうやらそうでもないらしく、友達と思わしき女子となんや賑やかで楽しそうに笑顔で話しとるし、俺以外の男子とも普通に会話して笑ろとるから別に男が苦手っちゅーわけでもなさそうで。

じゃあ俺に対してのあの態度はなんやねん!とイライラが募って机を思いっきり叩けば、どうやらいつの間にか授業はじまっとったみたいで先生にめっちゃ怒られた。

すんません、と平謝りしてチラと彼女を見ればクスリと小さく笑っとって、失態を笑われたとはいえ俺でそんな風に笑えるんやったらなんで仲良くせぇへんねんと何故かめっちゃモヤモヤした。










つれない君





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