Bookso beautiful yet terrific.

「ハーイ!Mr.Sのミステリーショップへようこそ!」

 購買部にやって来たエペルは口をあんぐりと開けて固まった。いつもレジカウンターにいる店主のサムはいない。代わりにいたのはエペルよりも背の低い色白の女の子だった。

「んだで。お、女の子?」

「ん?」

エペルの戸惑うような呟きに彼女は不思議そうに首を傾げる。それからすぐにああと納得したように頷いてから笑ってみせた。

「叔父ちゃんが仕入れに出てるの。それで、たまたま創立記念日だった私が店番しているんです」

にっこりと目を細める彼女の姿にエペルは大きな目をぱちぱちと瞬きする。
 つまり、要約するとこうだ。彼女はサムの姪で、現在高校1年生だ。その彼女の通う学校が今日は創立記念日で休校なのでバイトとして彼女が店番をしているとのことだった。

「普段なら叔父ちゃんが仕入れに行く時は店を閉めちゃうんだけど、それだと小鬼ちゃん達が困るからって頼まれたんですよ」

 話しながらふふふと笑う彼女の姿にエペルはそうなんだと相槌を打つ。というか、まだ若いサムのことを叔父ちゃん呼ばわりとは。エペルは内心サムに同情する。

「あ!忙しいのに引き止めてごめんなさい。せっかく買い物に来たのに」

「う、ううん!急ぎじゃないから平気。それよりも、ここ、男子校だから。その、困ったこと、ない?」

「お気遣いありがとう。やっぱり、女の子がいるのは珍しいみたいで」

苦笑いを浮かべる彼女にエペルは表情を曇らせる。店内をちらりと見回すと、やはり複数の好奇の目が彼女に向いていた。
 よし!と内心頷いたエペルはレジカウンターの向こう側にいる彼女の隣に並ぶ。エペルの突然の行動に彼女は瞬きを繰り返した。

「たぶん。君より、僕達学園の生徒の方が何処の棚に何があるか詳しいと思うから。ぜひ、手伝わせほしいな」

彼女が困るよりも早くエペルはヴィルに鍛えられた可憐でかわいいを存分に使い大きな瞳で彼女に訴える。勿論、彼女はその願いを秒で受け入れた。
 それをたまたまやって来たレオナとラギーとジャックが遠くから眺めていた。あいつ、やるな。と思いながら。

2022.12.01