Bookso beautiful yet terrific.

「今日はごめんなさい。付き合わせちゃって」

「い、いや。別に」

 すっかり暗くなった街を彼女と共に歩く。彼女の格好はいつもの士官学校の制服ではなく華やかなパーティードレスだった。

「それにしても、綺麗だったなあ」

 うっとりした様子で話す彼女の姿に俺は相槌を打つ。実は、今日は彼女が昔お世話になった女性の結婚式だった。純白のドレスに着飾った花嫁は確かに綺麗だったと俺も思う。
 思い出しては心底嬉しそうに花嫁の話をする彼女の横顔を盗み見る。将来は士官になるとはいえ、彼女もいずれは誰かの花嫁になるのだろう。

「白いドレスか。きっとマスターも着たら悪くないと思うぜ」

 言ってから、彼女から目を逸らす。本当は、悪くないどころか凄く似合って綺麗なんだろうなあと思う。だけど、それを言うのは何故か嫌だった。

「本当?そうだったら、嬉しいなあ」

無邪気に、彼女が笑ってみせる。彼女の笑顔は学生らしくまだあどけなさが残っていた。
 だから思わず、ホッとしてしまう。幼さと成熟さの間を残す彼女の姿に、何処ぞの馬の骨とも分からない輩の元へ嫁ぐのはずっと先だと認識したから。

2022.12.10