Bookso beautiful yet terrific.

 八九と十手が文化の違いがなんとかと言いながら呟いて歩いているのを見かけてついそちらを見る。その少し離れた先で邑田と在坂が除夜の鐘と年越し蕎麦が恋しいと話していた。

「あいつら日本の貴銃士だからな。イギリスの年越しの文化に驚いてるらしい」

 すっと音もなく隣に現れて話すライク・ツーの言葉に私は首を傾げつつも、きっと逆の立場なら私もそうなるのだろうと納得する。年越しかあと思いながら私は口を開いた。

「花火、見に行きたいなあ」

つい、そう声に出していた。イギリスでは年が明ける前から華やかな花火が上がるのが恒例だ。夜空に咲く大輪のカラフルな花達を眺めながら迎える一年の終わりと始まりにわくわくする。

「やめとけよ。毎年、年越し気分で浮かれた酔っ払いが街中で大騒ぎしてるからな。危ねえだろ」

間髪入れずに返されたライク・ツーの言葉に私は苦笑いを浮かべる。そういえば八九と十手がハイテンションなイギリス人の姿に困惑してたのを思い出した。

「分かった。行かない」

なんて言いつつ、ライク・ツーにバレないようにこっそり士官学校を抜け出そうと決意を固める。すると、あからさまに溜息を吐かれてしまった。

「おまえが素直に俺の言うことを聞くとは思えねーわ」

私の胸中なんぞとっくに読まれているらしい。私は軽く笑ってからライク・ツーを見上げる。すると同時にライク・ツーが私に顔を寄せて声を落とした。

「仕方ねえから俺が護衛してやる。夕飯食べたら寮の外で待ってろ。マークス辺りに見つかるなよ。あいつら来るとおもりが増えるし」

すっとライク・ツーが離れて背を向ける。ピンクの髪から覗く耳が赤く染まっているのを見つけて、私は嬉しくなって頬を緩めた。

「あたたかい格好してきてね」

「おまえこそな」

ぶっきらぼうに返して歩き去って行くライク・ツーの背中を見ながら嬉しくてたまらなかった。
 好きな人と一緒に年を越す。なんて幸せなのだろうと思いながら。

2022.12.31