
Bookso beautiful yet terrific.
年越し蕎麦を食べたり、酒を飲んで眠ってしまったり、テレビで大晦日の特番を見たり。我が本丸の刀剣男士達は大広間に集まってはそれぞれ思い思いに過ごしていた。寒いからと各部屋からこたつを運んできたり、少しだけ仮眠をと言いながら布団を用意して雑魚寝したり。大広間は大層荒れ狂っている。
せっかくみんなで大掃除して綺麗にしたのになあと思いつつも、毎年のことなので気にしない。私は縁側の近くに設置されたこたつに入りぬくぬくしながら雪見窓越しにぼんやりと外を眺める。遠くから微かに聞こえてくる除夜の鐘の音に心が落ちつく。
「よっ!主も年越し蕎麦食べたか?」
「ううん。これから」
「なら、ちょうどよかった」
私の目の前に現れた鶴丸は両手にどんぶりを二つ持っていた。一つは私に、もう一つは自分の前に置いては私の隣にぴったりとくっついてこたつに入ってくる。
「え。食べづらい」
「そうか?この方があたたくていい」
なんて言ってのけてから鶴丸は気にせずにいただきますと手を合わせて年越し蕎麦を啜り始める。鶴丸に抗議しても無駄だと理解している私はそのままいただきますと手を合わせた。動くたびに鶴丸の香りがして心臓が飛び跳ねそうになるけれど。
今年はあれがあったとか、昨年に比べて大変だったとか、一年を振り返りながらずるずると年越し蕎麦を啜る。ふと、鶴丸が思い出したように声を上げる。それから私に顔を向けて、頬を緩めてみせた。
「今年もありがとう、主。来年もよろしく頼む」
「こちらこそ、ありがとう」
「来年は今年以上に猛アタックってやつを頑張る予定だ」
そう言ってのける鶴丸は何事もなかったかのように年越し蕎麦を食べるのを再開する。
一方私は、熱を集めた頬をどうすることもできないまま年越し蕎麦を口にした。これ以上猛アタックされたら心臓が持たないなあと思いながら。
2022.12.31