Bookso beautiful yet terrific.

「あ!いたいた!あなたがあのラギー・ブッチさんですね!」

 突然呼ばれた声に振り向くと、俺と同じハイエナの獣人族の女性が立っていた。彼女は人の良さそうな微笑みを携えてつかつかと無遠慮に俺に近づいてくる。

「そうですけど。どちらさまッスか?」

「申し遅れました。私は夕焼けの草原で環境大臣の秘書をしております。ラギーさんのことはレオナ王子からお話を窺っております」

環境大臣の秘書?そんな人が俺に何の用?と思いあからさまに顔を顰めてしまう。俺の反応に彼女は全く気にする素振りなんぞ見せずにこやかに言ったのだった。

「単刀直入に言いますね。ラギーさん。うちでアルバイトしませんか?」

「は?」

「ちなみに、ナイトレイブンカレッジを卒業したらうちの事務所で働いてもらいます。要するに、今から内定通知を差し上げるということです」

「え!?俺が!?なんで!?」

「レオナ王子から、金を掴ませれば何でもやる便利屋だとお聞きしたものですから」

にこりと彼女がかわいらしく微笑んだ。さらっと貶されたような気もするけど。

「理由はどうであれ。レオナさんに推薦されたのなら断るわけにもいかないッスね」

「わあ嬉しい。良いお返事、どうもありがとう」

 ほわほわと笑っていた彼女が、急にすっと俺に近づき、耳打ちする。先程とは打って変わった低い声音にぞくりとした。

「ここだけの話、2年後には秘書をやめて議員として出馬するの。あなたの活躍、期待してますね」

俺が彼女を見ると、彼女は口角を上げて不敵な笑みを浮かべる。その野心たっぷりの志に俺はこの人に自分を利用させてやるのも悪くないかなと思った。

2023.01.17