Bookso beautiful yet terrific.

 今日から教育実習生が来るらしい。いち早くその噂を聞きつけた俺は真偽を確かめるべく職員室の前をうろうろとしていた。本音を言えば、教育実習生が来ようが特別興味あるわけではない。ただ、周りのノリに合わせておけば楽だし。
 そんなこんなで職員室まで来たが、先生達を捕まえて教育実習生が来るの?なんぞ気軽に聞けるわけがない。HRまで待てと言われる確率の方が高いからだ。

「では、よろしく頼む」

「はい。お父さん」

「ここでは先生と呼べと言ったはずだが?」

「あ。そうでした」

 俺が悶々としていると、ちょうど職員室からトレイン先生と若い女性が話しながら出てきた。トレイン先生は俺を見つけた瞬間、あからさまに顔を顰める。

「ダイヤモンド」

低い声で呼び、つかつかと俺の元へやって来るトレイン先生に対し、俺はへらりと笑ってみせる。挙動不審に職員室の前をうろついていることを咎められちゃうのだろうと思った。

「ちょうどいい。彼女をおまえ達のクラスまで案内してくれないか?」

「俺のクラスに?勿論オッケーです」

「すまないね。感謝する」

そう言ってトレイン先生は隣にいる彼女のことを示す。トレイン先生の彼女に向ける瞳にはずいぶんと優しさが含まれている気がした。

「さあ、行きなさい。分からないことがあればいつでも聞きに来なさい。いいね?」

「ありがとう、お父さん。頑張ってくる」

「だから。ここでは先生と呼びなさい」

「あ。忘れてた」

呆れた声音で話してはいるが、トレイン先生の頬は緩んでいた。一方、トレイン先生と話す時の彼女は見た目より幼く見えた。

「というわけで。これからよろしくね、ダイヤモンドくん」

 くるりと俺に向き直った彼女はふわりと微笑んだ。あとで知ったけど、教育実習生はトレイン先生の娘さんだった。

2023.01.17