
Bookso beautiful yet terrific.
バスケ部の他校との練習試合を終えたあとのことだった。練習試合の相手校がナイトレイブンカレッジの体育館から去り、ギャラリー達も帰っていく。そんな中、一人の女の子が辺りをきょろきょろと見回し、それから何かを見つけたらしくパッと表情が和らいだ。彼女は紙袋片手に小走りでナイトレイブンカレッジ生の輪の中に入り、ジャミルに声をかけた。
「お疲れ様!ジャミルくん!」
「ああ、おまえか。ありがとう」
ジャミルは表情を緩めながら彼女の側に行き、会話を続ける。彼女は紙袋の中から水筒とタオルを取り出してジャミルに手渡した。
「今日の相手は結構手強かったな」
「そういうわりには、ジャミルくんってば表情変えずにプレーするじゃないの」
「顔に出したら誰にパスするかバレちゃうだろう?」
「それもそうだね」
ジャミルは当たり前のように彼女から受け取った水筒を開けてがぶがぶと飲み始める。時折、首筋を伝う汗をタオルで拭いた。
何あれ?恋人?いや、あれはもう夫婦じゃね?
その光景を見ていたエースはつかつかとジャミル達の元へ行き、無遠慮に声をかけてやった。
「ジャミル先輩に彼女いるなんて知らなかったなあ」
「彼女?いるわけないだろう。ただの幼馴染だよ」
エースの言葉にジャミルは間髪入れずに返す。彼女も特に気にする様子もなくへらりと笑った。
「あなたもお疲れ様。試合、活躍してたね。一番はジャミルくんだけど」
さらりと言われた言葉にエースは顔が引きつる。普通、嘘でも俺が大活躍だったって言わない?と思う。
「こういうかわいげのないやつなんだ。許してやってくれ」
なんてジャミルがすぐにフォローに入るが、そのジャミル自身は満更でもなさそうな表情だ。
両片想いっぽいやつを見せつけられたエースは呆れたように溜息を吐くしかなかったのだった。
2023.01.18