
Bookso beautiful yet terrific.
休み時間に廊下を歩いていると、訓練場の前で楽しそうに話す女子生徒とエンフィールドの姿を見つけた。女子生徒は無遠慮にエンフィールドの胸板に軽く手を置いて話し、エンフィールドは女子生徒の髪に指を絡めながら話している。そのあまりにも近い距離感に私はつい足を止めて凝視した。
「エンフィールドだよね?グラースじゃなくて」
つい、言葉が溢れてしまうのは仕方がないだろう。ちょっとたまに暴走するところもあるけれど、エンフィールドは品行方正で有名の貴銃士だ。やれお花ちゃん、やれ小鳥ちゃん、と女性に声をかけて歩くグラースとは違う。
まあ、でも。銃とはいえ貴銃士だし、恋愛くらいするよね。と納得して私は再び廊下を歩き出す。あの仲睦まじいエンフィールド達の姿を思い出し頬が緩んだ。エンフィールドが良い人に巡り会えたのならそれでいいと微笑ましく思った。
エンフィールド恋仲事件(仮)を見つけてから数日が経った。まさかの、あのエンフィールドが日替わりで違う女子生徒と距離感近い触れ合いするのを私は目撃するようになった。流石に、私も首を捻る。グラースがエンフィールド風の見た目にイメージチェンジしたのかなと疑いたくなるが、残念ながらエンフィールド本人で間違いない。
悶々と悩んでいると、渦中のエンフィールドが私を見つけたらしく遠くから素早く私の元へやって来る。それからいつものように微笑んでみせた。
「マスター。何かお悩みですか?」
その質問を口にするエンフィールドの表情は何故かキラキラと輝いていた。私はつい、苦笑いを浮かべてしまう。悩んでいるかいないかと問われれば、微妙なところではある。
「エンフィールドは、最近忙しそうだね」
あからさまに話を逸らす私の言葉にエンフィールドは数回瞬きする。それからじっと私の顔を見つめたかと思えば、クスッと笑った。
「やきもちですか?」
「まったく」
「あなたって人は。なんとかわいらしいんでしょう。ええ!」
「話、聞いてる?」
おもむろに伸ばされたエンフィールドの手が私の髪に指を絡める。女子生徒達のように近くなった距離に私が眉を寄せると、エンフィールドが大層嬉しそうな表情を浮かべてみせた。
「安心してくださいね、マスター。ようやく他の方を見る必要もなくなりましたので。僕が心の底から愛しているのはあなただけですよ」
ずいとエンフィールドの顔が私の顔に近づく。それから品行方正らしく美しい微笑みを浮かべて言ってのけるのだった。
「この先、僕だけをずっと見ててください。そして、もっと嫉妬に狂うあなたの姿を僕だけに見せてくださいね」
2023.01.25