Bookso beautiful yet terrific.

 フランスでの任務が終わり、イギリスの士官学校へ列車に乗って帰還する時だった。車窓から流れる景色をぼんやりと眺めていると、隣に座っていた彼女が突然パッと顔を上げたのでボクは彼女に向き直った。

「どうしたの?」

「あー、ごめんなさい。うっかり眠っちゃったみたいで」

苦笑いを浮かべる彼女の姿にボクはつい頬を緩める。それからポンと軽く彼女の肩を叩いた。

「貴族達とのパーティー続きで気疲れしちゃったよね。フィルクレヴァート駅までまだかかるから眠っててもいいよ。ボク、着いたら起こすし」

「それはありがたいんだけど」

歯切れの悪い彼女の返事にボクは首を傾げる。彼女は少しだけ迷う素振りを見せたかと思えば、諦めたように恥ずかしそうに笑った。

「さっきもうとうとしていたら、変な夢見ちゃって」

「きっと嫌な夢だったんだよね?大丈夫?」

「授業中に居眠りして、教官に丸めた教科書で思いっきり頭を叩かれる夢」

その時の夢を思い出したらしく彼女の眉が寄る。ボクは想像の斜めを行く彼女の嫌な夢の内容にぱちぱちと瞬きした。

「なんか意外。真面目な君も、そういう夢を見るんだね」

つい、ふふふと声に出して笑った。彼女は不服そうにボクを見るが、すぐに彼女も一緒になって笑う。

「かわいい」

ボクがくしゃりと彼女の頭を撫でると、彼女はびっくりしたようにボクを見る。一拍置き、彼女の顔がボンッと真っ赤に染まった。

「もう。子供扱いするのやめてよね」

彼女が抵抗するようにボクの手を自らの頭からそっと退かす。その弱々しい力にボクはより一層彼女がかわいいと思った。

「子供扱いしてないよ。強いて言うなら、恋人扱いしてみたいかな」

ボクの言葉に対し、彼女が驚きを露わにさせた。だけどすぐに、また顔を赤くさせていく。そんな彼女が愛しくて、ボクの顔が綻んだ。

2023.01.28