
Bookso beautiful yet terrific.
タバティエールの部屋で、私達はいた。ソファに並んで座り、タバティエールは世界の伝統料理本を読み、私はタバティエールの本体を手入れしている。室内に響くのは本を捲る音と手入れする音だけ。
ゆっくりと時間をかけて手入れを終えたタバティエールの本体をそっと机の上に置く。それから手入れ道具一式を片付けている時だった。ふと、タバティエールが本をテーブルの上に置く。それに気づいた私がタバティエールを見ると、すっと伸びてきた手が私の手を掴んだ。
「ありがとう、マスターちゃん」
「こちらこそ、いつもありがとう。任務とか、おいしい料理とか」
「マスターちゃんに喜んでいただき光栄だな」
不意に、掴まれた手に優しく口付けられる。私は瞬時に頬を赤くしてから慌てて手を引っ込めようとするが、タバティエールは許してくれない。
「逃げるのは傷つくなあ」
「タバティエールらしくない」
思わずじとりとタバティエールを見るが、タバティエールは余裕綽々の表情を浮かべては相手にしてくれない。というか、私に赤い顔のまま睨まれても説得力ないのだろう。
「俺も、男なんでね。恋慕う女性を目の前にして何もしないわけにいかないな」
ぐっとタバティエールの顔が近づく。至近距離で笑ったタバティエールがとてもかっこよくて私は惚けるしかできなかった。
2023.01.28