
Bookso beautiful yet terrific.
心臓の音がやけにうるさい。私の反応なんぞ気にしてないだろうエンフィールドは至近距離でまじまじと目を覗き込んでいる。
「少し目が赤いです。さては。任務中に、擦りましたね」
「そうかもしれない」
「念のため、目薬をさしましょう」
言うか早いか、エンフィールドは素早く目薬を用意しては私の顎を指でそっと摘み上を向かせてくる。目薬ぐらい自分でやると言ったところでエンフィールドはやめてくれないだろう。
「目。閉じないで」
クスッと低く笑う声に私の緊張感が最高潮に達した。こんなに近すぎる距離でドキドキしない方がおかしい。つまり、平然としているエンフィールドは変人だ。当のエンフィールドは、私の目を覗き込んではゆったりと微笑んでいる。なかなか目薬をさそうとしないエンフィールドに痺れを切らした私は、恥ずかしさに我慢できなくてぎゅうと瞼を閉じた。
「ああ、マスター。目を閉じてしまいましたね。これでは目薬がさせませんよ」
「だってエンフィールドが」
反論しながら再度瞼を開けると、エンフィールドの顔は私の唇にお互いの息がかかるほど近い場所にあった。唇に微かに伝わるエンフィールドの温度に、私の顔が一気に真っ赤に染まる。身体中が心臓になったかのようにドクドクと騒がしかった。
「目。閉じないでくださいね。次に閉じてしまったら、お仕置きしますよ」
そう言ってから、エンフィールドの指が私の顎から唇に移動してゆっくりとなぞっていく。余裕綽々のエンフィールドに悔しくて、つい、じとりと睨んだ。
2023.02.04