Bookso beautiful yet terrific.

「あ、あの!!!監督生さん!!!」

 休み時間に中庭に面した外廊下を歩いていると、いつもより随分と大きな声で私を呼ぶオルトくんに出会した。

「オルトくん。どうしたの?」

少し離れた先にいるオルトくんに近づこうと足を踏み出すが、オルトくんは私に構わずさらに続けた。

「僕と、結婚してください!!!」

オルトくんにしてはとても珍しく叫ぶような声に私は思わず足を止める。しかし、よくよく考えると理解してきた言葉の意味に気づき、瞬きした。
 真っ直ぐこちらを見つめたまま動かないオルトくんのことが直視できなくて、つい俯く。オルトくんが?私を?と信じ難いが、優しくて真面目なオルトくんが冗談でこんなことを言わないのは分かる。

「私は、」

そう言いかけて口を噤む。だいたい、私はツイステッドワンダーランドの人間ではない。私がずっとこの世界にいられる保証なんぞ何処にもない。そして、いつか必ず、私はオルトくんのことを遺して死んでいく。

「監督生さん」

 優しく呼ばれて、私は顔を上げる。オルトくんはじっと私と目を合わせてから、ゆっくりと両腕を広げて笑ってみせた。

「僕ね、監督生さんのことが好き。大好き。ロボットだから見た目もずっとこのまま。だからこの気持ちも、変わることがないよ」

ね?と、こてんと首を傾げるオルトくんの姿に私は胸に込み上げるものを感じた。
 迷わず、地面を蹴って走り出す。両手を広げるオルトくんの胸に力いっぱい飛び込んでやった。オルトくんは流石ロボットのボディだけあってふらつくこともなく勢いすらも受け止めてくれる。

「私も、オルトのことが好き。大好き」

「うん!ずーっと一緒だよ」

幸せな言葉と共にそっと背中にまわる腕に私は身を委ねた。
 この先、どんな困難があっても、オルトくんとなら頑張れる気がした。

2023.02.04