
Bookso beautiful yet terrific.
「俺は、あなたのことが、」
そう言いかけて口を噤むドライゼの姿に私は何も言えず、口を開きかけては閉じるだけだった。
ドライゼはぎゅっと拳を両手に握り締めて膝の上に置き、俯いている。この先の言葉を言おうか言わないか迷うように苦悶の表情を浮かべて口を引き結ぶ。
私はそんなドライゼの姿を前にしたまま、向かいの席に座り銃の手入れを続けた。本当はドライゼからの突然の言葉に驚いて何も手につかない状態だけど、やるべきことはしなければならない。というより、銃の手入れに集中してるふりでもしなければ、ドライゼの顔が平常心で見れそうにない。
「マスター」
長い長い沈黙のあと、ドライゼが私を呼んだ。いつもの威厳ある特別司令官という覇気なんぞ一切感じない少し弱った声に、私は手を止めてドライゼの顔を見た。私と目が合ったドライゼの表情に動揺が走る。
「いや。何でもない。忘れてくれ」
そう言ったドライゼがカタンと音を立てて席を立った。そのまま私の顔を見ずに部屋の扉に手をかける。
「少し時間が経ったら戻る。それまで、頼む」
早口に言ってのけたドライゼはさっさと扉の向こうへ行ってしまった。
残された私はしばらくぼんやりと扉を見つめ、やがて、手入れ途中の銃が並ぶテーブルの上に突っ伏す。ずいぶんと近い距離にあるドライゼの一部を指で突いては、深い溜息を吐いた。
2023.02.10