Bookso beautiful yet terrific.

 ジーグブルートが調理室でお菓子作りに励んでいると、調理室に面した庭から生徒達の話し声が聞こえてきた。

「もうすぐバレンタインデーでしょう?だからちょっと早いけど、週末にダーリンと一緒にデートに行くの!」

きゃーと言いながら両手の掌を頬に当てる女子生徒に、友人らしい何人かの女子生徒がきゃっきゃっと声を上げた。

「いいなあ。私も彼氏欲しい」

「デート!すっごく羨ましい!」

「えへへ」

囃し立てられても構わず惚気る女子生徒に対しジーグブルートが呆れたようにこっそりと苦笑いをした。ごちそうさん。と、心の中で溢しながら。
 ふと、ジーグブルートは調理室内に設置されているカレンダーを見る。誰かが赤いペンで囲んだらしく14日がとても強調されていた。

「デート、か」

 ジーグブルートの頭の中にマスターの姿が浮かんだ。きっと彼女なら、週末にデートに誘えば喜んでくれるに違い。郊外まで出て、絶叫系遊園地と呼ばれるソープ・パークに行くのもいいだろう。ランチはジーグブルートが用意した軽食を外で食べるのもピクニック気分でいい。
 そこで、ハタとジーグブルートは思う。これって完全に恋人同士の休日ではないかと。
 それに気づいた途端、ジーグブルートの顔が耳まで真っ赤に染まった。いやいやいや!貴銃士とマスターだし!出かけるのは普通だろ!と考え込みながらしゃがむ。

「いっそのこと、告白しちまうか」

そのまま意味もなく顔を片手で覆ったジーグブルートは悩むように小さく呻き声を上げたのだった。

2023.02.10