
Bookso beautiful yet terrific.
久々の任務がない週末。私は浮かれた気分を隠すことなく街中にいた。まずは学校で必要な筆記用具を買い足し、それから新しくオープンした洋服店に行き、そして気の向くままカフェに入りテラス席に座って紅茶とケーキを愉しんだ。
「お姉さん一人?」
「俺達と一緒にどう?」
「一人じゃつまんないっしょ。つーか、ほんとはナンパ待ちだろ?」
そんな私の幸せな休日の雰囲気をぶち壊してくれる輩が現れた。奴等はカフェの敷地外からテラス席にご丁寧に声をかけてくるではないか。というか、大きい声出されても困ります。
「お気遣いありがとうございます。結構です」
「いやいやいや。無理しちゃって」
私の返事に何の躊躇もなく言ってのける男達にうっっっざ!!!と叫びたいが我慢。士官学校の生徒が外で問題を起こしたなんぞ噂が広がれば、私だけではなく恭遠教官やラッセル教官にも迷惑がかかる。それは避けたかった。
私がどうやって男達を撃退しようか悩んでいると、すっと向かいの席に座る気配がした。
「待たせてごめんね。ところで、この人達はお友達かな?」
私が顔を上げると、向かいの席に座った張本人であるエルメがにこやかに笑った。そして、そのまま男達に視線を向ける。それから大層綺麗な顔で微笑んでみせた。
「俺のフィアンセがお世話になったようだね。暇潰しに付き合ってくれてありがとう」
さらりと言ってのけるエルメの顔立ちに男達は眩しいものを見る目で深々と頭を下げ、そして去って行った。
私はすぐにエルメに向き直り、軽く頭を下げた。
「ありがとう、エルメ。助かったよ」
「どういたしまして。というか、本当のことを言っただけだよ」
「ふふふ。エルメはお上手だなあ」
にこやかに返すエルメの姿に、私も一緒に笑ってみせる。エルメのおかげで助かってよかった、と暢気に思いながら。
2023.02.10