
Bookso beautiful yet terrific.
じっと見つめてくる瞳に私は堪えられずに下を向く。しかし、在坂が私の両手を自身の両手で握っているので物理的に逃げ場はない。
「マスター。マスターは、在坂が嫌いか?」
「違うよ」
「それならば、何故、在坂を見ない?」
すっと在坂が私の顔を下から覗き込んだ。おかげで、私は下を見ることができず、在坂から目を逸せなくなった。
「だって。恥ずかしいから」
「恥ずかしい?」
私の返事に在坂は首を傾げる。だけど、すぐにああと気づいたらしく、ずいと私に顔を近づけた。
「そうか。口付けする時、恥ずかしいから」
「そりゃあ。何度しても慣れるものではないしさ」
「マスターのかわいい顔は、在坂しか見ない。だから、安心していい」
私が言い返す間もなく、在坂の唇が私の唇に触れた。それから、私から少しだけ距離を取った在坂はほんのりと頬を緩めた。
「好きだ。マスターは?」
そう言われてしまえば、恥ずかしいなんぞ言ってられない。結局、私は在坂に敵わない。
「私も。好き」
私の返事を聞いた在坂は満足気に微笑み、甘えるように額と額を合わせてくる。
甘ったるい時間は、まだまだ終わらせてくれない。
2023.02.10