Bookso beautiful yet terrific.

 私が歩いていると、ラギー先輩が向こう側からやって来た。ラギー先輩の姿に嬉しくなって声をかけようとすれば、ラギー先輩も私の姿に気がついたらしくズンズンと大股で側にやって来た。

「監督生くん。見損なったッスよ」

「会って早々に酷くないですか?」

「オレのこと、弄んだでしょ」

「弄んでないですけど」

「だって。オレ以外にも愛想振り撒くじゃん」

私はきょとんとしながらラギー先輩を見上げる、何故か急に独占欲の強い彼氏みたいなことを言い出すラギー先輩に対してつい首を傾げた。

「そう言われてしまうと、勘違いしちゃうのですが」

「はあ?勘違い?」

「まるで恋人同士みたいな会話だなあと思って」

「恋人同士なんかじゃないでしょ。結婚の約束した仲ッスよ」

「け、結婚!?」

思わず素っ頓狂の声を上げた。ラギー先輩とは結婚どころか交際もしていないし、しかも愛の告白もされたことないし、したことない。私はぐるぐると必死に記憶を巡らせるがやっぱり身に覚えがなかった。

「なんか、その。ごめんなさい?」

「そうそう。それでいいんスよ。それじゃあ、ちゃんと責任取ってオレと結婚してね。返事は?」

とてもじゃないがNOと言える雰囲気ではなかった。軽い気持ちで返事をしても相手に失礼だけど、そもそも私はラギー先輩と結婚の約束をしていたらしい立場だ、記憶に全くありませんが。しかし、それならば、YESを返すしかない。

「はい。ですかね」

「よし!オッケー!忘れたら承知しないッス!」

シシッと歯を見せて笑うラギー先輩の姿に、私はもやもやしつつもまあいいかと思うことにした。ラギー先輩、悪い人じゃないし。
 ちなみに、あとで知ったことだが。私とラギー先輩はやっぱり結婚の約束なんぞしていなかった。それを、事実を作っちゃえばこっちのもの!と考えたラギー先輩によってうまく話に乗せられてしまったのである。だけど、真相を知っても婚約破棄しようとは思わなかった。何故なら、そんな強かなところのあるラギー先輩が好きだから。

2023.02.10