
Bookso beautiful yet terrific.
「王族の方って、結婚相手を選ぶの大変そう」
彼女は特に表情を変えずにそう言った。
きっかけは、俺が学園を卒業したらお見合いさせようと目論む夕焼けの草原の王室関係者から大量のお相手写真が送りつけられたことだった。宅配便で届いたお見合い写真を仕方なく受け取り自室へ向かうところに、たまたまサバナクロー寮の談話室にやって来た彼女と出会し、二人揃って談話室でお見合い写真を暇潰しに眺めることになった。そして、彼女が山になっているお見合い写真をまじまじと見つめて前述の感想を述べたのである。
俺は興味のないお見合い写真をダンボール箱にぶち込みながら深く溜息を吐いた。こんなことをしなくてもいずれは誰かしらと結婚するのにと思う。
「そういえば。なんでここにいるんだよ?」
ふと、ようやく気づいた疑問を彼女に向けると、彼女はお見合い写真から目線を外して俺を見た。
「エース達とハーツラビュル寮で勉強会するので、ジャックもどうかと思って誘いに来たんです」
「あいつは留守だ。さっきロードワークに出かけて行ったからな」
「一足遅かったかあ。分かりました。出直します」
僅かに苦笑いを浮かべた彼女は、それからきちんと頭を下げた。
「ありがとうございます。お邪魔しました」
くるりと俺に背を向けて談話室を出て行く彼女に適当に声をかけて見送った。
一人残された俺は、お見合い写真の墓場となっているダンボール箱に視線をやり、また溜息を吐いた。
「お見合いなんざ必要ねえよ。俺には、」
誰に言うわけでもない言葉に、自嘲気味に笑う。彼女が俺のプリンセスならば。思うだけなら、自由だ。
2023.02.10