Bookso beautiful yet terrific.

 うとうとしかけていたことに気づいてハッとすると、私の膝の上でもぞもぞと動く気配を感じた。

「ますたあ。あいしてるぞ。へへっ」

寝言を口にしながら私の膝を枕にして心地良く眠るジョージの姿に私はつい瞬きした。
 それもそのはず。私がいる場所は士官学校の中庭にあるベンチだ。そもそも、私はここで一人で本を読んでいた。残念ながら、読みかけの本は私の手になく、ジョージの手に握られているけど。

「ますたーのごはんうっまいなー。おなかいっぱい。だーいすき」

 私の気も知らないジョージは相変わらず寝言を連発している。舌っ足らずのふわふわした話しぶりと、熱烈すぎる告白っぽい言葉のせいで私の顔に熱を集めていった。
 だいたい、いつから私の膝にいるの?というか、何の夢を見てるの?そもそも誰かしらに見られるだろう中庭で膝枕なんて。と、文句が頭の中に浮かぶが私の口は情けなくぱくぱくと動くだけで音が出なかった。

「HAHA!なあマスター、愛してる」

 脈絡もなくすっと伸びてきた手が私の腰にまわされてきゅっと力が加わっていく。膝枕だけでもドキドキするのに、完全に密着した体勢に私は固まるしかなかった。

「ちょ、え、」

困惑する私の耳に、微かに笑い声が聞こえてきた。それと同時にお腹に小刻みに揺れる振動が伝わってくる。
 ハッとした私は思わずジョージの肩に手を置いて退かそうと力を加えるが、ジョージは顔を上げて私を見るだけでその場から動かなかった。

「HAHA!マスターの顔、真っ赤だな。かわいい」

屈託のない笑顔でそう言われてしまえば、私は恥ずかしさにもごもごと口籠るしかなかった。
 これが寝たふりだったと私が知るのは、あと数分後のことである。

2023.03.01