
Bookso beautiful yet terrific.
ケンタッキーに誘われて今日は士官学校の裏山へ散歩に来ていた。天気が良いおかげで、マイナスイオンが辺り一帯を占めている気がする。
「誘ってくれてありがとう」
歩きながら、思わずうーんと伸びをする。続いて大きく深呼吸しては肺いっぱいに草木の匂いを吸い込んだ。
「マスターの気分転換になれたなら何よりっす!」
すっかり心を落ちつけた私の姿にケンタッキーがへへっと満足気に笑う。
だけど、急に表情を暗くして足を止めた。
「実は、今日は大事な話があって、」
ケンタッキーにならって私も歩みを止める。何かあったのかな?と思いつつケンタッキーに向き直ると、ケンタッキーは決意した表情を浮かべて、既に私のことを真っ直ぐに見つめていた。
「俺、俺は、」
ケンタッキーがすっと短く息を吸い、吐き出した。一瞬にしてケンタッキーの纏う空気が変わったことを察した私は息を呑んだ。
「自分は、銃です。貴銃士という存在です。だけど、」
真っ直ぐにこちらを見つめるケンタッキーの瞳が僅かに揺らいだ。隠しきれない不安の色を見つけてしまい、胸の奥が締めつけられていく。
「マスターのことを、心から愛しています」
ハッキリと紡がれた言葉に私の視界が揺らいだ。ずっと欲しかった言葉に私は迷わず返事をしたかった。
「私だって、」
だけど、嬉しさでいっぱいいっぱいで言葉なんぞ出せそうになかった。
ケンタッキーは私の想いを悟ったようで、泣き出しそうな顔で笑った。
「もしかして、マスターも?」
ケンタッキーの質問に頷くと、ケンタッキーが安堵したような息を吐いていく。それから、私に一歩近づいてから尋ねるのだった。
「あの!だ、抱きしめても、いいですか?」
最後の方はか細い声になっちゃったけど優しいケンタッキーらしいと思う。
私がもう一度頷くと、ケンタッキーの辿々しい手つきに抱きしめられたのだった。
2023.03.01