Bookso beautiful yet terrific.

 今日の授業はスプリングフィールドを始めとした一部の貴銃士と一緒だった。
 ドライゼ達ドイツの貴銃士はドイツ支部へ、マークスとライク・ツーは任務に、エンフィールドとスナイダーはイギリス王室へ出向き、シャルルヴィル達フランスの貴銃士も貴族の社交界参加のためにフランスへ、カールとローレンツもベルガーを連れてオーストラリアへ戻っている。そのため、残されたのは極一部の貴銃士しかいないこともあり、士官候補生と貴銃士の交流という理由で合同授業になったのだった。
 そんなこんなで、一限目は数学。私とスプリングフィールドは隣同士の席に座り、それぞれ授業を受けていた。他の士官候補生達は、貴銃士と一緒に授業を受けられる展開に隠し切れない喜びを表情に浮かべている。みんなここぞとばかりに理由をつけては貴銃士に話しかけていた。授業中だというのに。
 浮かれた生徒達を教官は大目に見ているらしく特に注意を促すことはなかった。私はみんなが仲良くしているならそれでいいと思っているので気にせず授業を聞いている。それに、マークスの持ち主としては数学は必要不可欠だ。今は授業に集中したい。
 ふと、ペンを握る私の手が隣にいるスプリングフィールドの肘に当たってしまった。スプリングフィールドはノートを押さえる方の肘の違和感に気づいたようできょとんとした表情のまま私の顔を見る。

「ごめんなさい。当たっちゃって」

授業中のため小さな声ではあるが瞬時に謝罪すると、スプリングフィールドは一拍置いてから、ああと納得した表情を浮かべる。それからやんわりと頬を緩めてみせた。

「大丈夫ですよ。気にしないでください」

ひそひそ声で返された言葉に私は安堵しつつも、なんだか二人だけの内緒話をしているみたいで不謹慎にも嬉しく思った。

「ありがとう」

「礼を言われることでは」

そう言って目を細める彼の姿に、もう少しだけお話したくなってしまう。だからつい、言葉を続けた。

「あの問い。答えはもうできた?」

「はい。マスターは?」

「私もできた」

「答え合わせ、してみましょうか?」

「うん。そうしよう」

お互いのノートを覗き込んだせいでぐっと距離が狭まった。気がつけば、私達の顔が数センチの位置にある。それに気づいた瞬間、二人揃ってパッと離れた。

「す、すみません!」

「あ、ううん!私の方こそごめんなさい」

 そのあとはお互いに無言のまま授業を受けた。私の顔も赤いけど、隣に座るスプリングフィールドの耳も赤く染まっている。これって、スプリングフィールドも私と同じ気持ちだったりするのかなと思わずにはいられなかった。

2023.03.01