
Bookso beautiful yet terrific.
クルーウェル先生に頼まれてクラスに在籍するイグニハイド寮生の分のノートをイグニハイド寮の談話室まで運んでいると、すっごくハイテンションのイデア先輩が大きなゴーグルをつけてそこにいた。
「待ってくだされ!」
談話室のテーブルの上に人数分のノートを置いてさっさと帰ろうとしたところで、イデア先輩が私に向かって手を伸ばして引き止めてきた。私を見る視線はゴーグル越しだけど。
「えーと。なんでしょう?」
唐突に、イデア先輩の両手が私の両手を掴んで力いっぱい握ってくる。困惑する私をお構いなしに、イデア先輩はとんでもないことを言ってのけた。
「拙者、ずっと君が好きだった。せ、拙者と!結婚してくだされ!!!」
「え?ええ!?」
「大事にするから。約束する。あの、その、返事、聞いてもいいかな?」
ぎゅうと握られた両手に力が加わり、私はあまりにも突然すぎる話に瞬きしかできなかった。
数秒後、私の両手を離したイデア先輩がそのままゴーグルを外す。それからめっちゃくちゃいい笑顔を浮かべてみせた。
「いやー。好感度MAXエンド。無事回収しましたわ。やっぱりトキメキプリキュアメモリアルのシナリオは神がかっておりますなあ。地球の平和を守るヒロイン達が平々凡々の幼馴染と恋に落ちては笑いあり涙ありの展開には当たり障りのない恋愛ものに見せかけて深い話でつい引き込まれる世界観ですわ!!!って、ん?」
一通り喋ったイデア先輩は私の姿を見つけて固まる。一拍置き、イデア先輩がハッとする。それからあわあわと動揺し始めた。
「かかかか監督生氏!?トキプリのナギサちゃんじゃないですと!?キュアブラックは何処お!?」
「トキプリ?ナギサちゃん?」
「え、あ、違くて。そ、その、さ。何か、見た?」
イデア先輩からの質問に私は先程の光景を頭の中に浮かべる。その記憶を瞬時に消した。
「何も見てません」
「嘘だ!?」
「それでは。失礼いたします」
「あ、ちょ、監督生氏!?」
イデア先輩が悲鳴に近い声で私を呼ぶが私は無視して走りイグニハイド寮の談話室を飛び出した。
正直に言うと、イデア先輩からのプロポーズ(ナギサちゃんにだけど)にときめいてしまったことは私だけの秘密。
2023.03.01