Bookso beautiful yet terrific.

 突然、後ろから伸びてきた両手に抱きしめられた私は驚きすぎて固まった。本棚から取り出した本を落としそうになるも、とりあえずは何とか手に掴んだままである。

「あの。シルバー先輩?」

できるだけ、小声で相手を呼ぶ。ここは数あるナイトレイブンカレッジ生が利用する図書室だ。いくら驚いたからといって大声を出して誰かに気づかれるわけにもいかなかった。

「すまない。もう少しだけ」

 シルバー先輩が掠れた声音でそう言ってから、私の身体を抱きしめる力をさらに加えてくる。シルバー先輩の心臓の音が背中越しに響いてくるほどの密着した姿に私の顔に熱を集めていった。

「何か、あったんですか?」

 シルバー先輩の態度に、そう思わずにはいられなかった。いつも背筋を正してキリッとした雰囲気のシルバー先輩からは想像つかない今の姿に少しだけ不安になりつつも、私なんかが僅かでもシルバー先輩の支えになるならと嬉しく思う。

「俺にもよく分からないんだ。ただ、おまえを見ていると、胸の奥がざわざわするというか」

話し方からして、シルバー先輩自身も躊躇うような雰囲気だった。

「おまえが友人達と楽しそうに話しているのを見ると、こうして抱きしめたくなる。おまえを困らせることを分かっていても、止められない」

ぽつぽつと話すシルバー先輩からの熱烈な言葉に私の胸の奥がきゅうと締めつけられていく。私は、私のことを抱きしめたままのシルバー先輩の手に本を持たない方の自分の手を重ねた。その瞬間、シルバーの身体がぴくりと反応する。それからシルバー先輩が、ゆっくりと深く息を吐き出したのだった。

「このまま。おまえを俺だけのものにできたらいいのに。早く、おまえと結婚できる年齢になりたい」

2023.03.07