Bookso beautiful yet terrific.

「ねえ。これ、食べる?」

 私の部屋を訪ねてきたカトラリーの手には紙袋いっぱいの鯛焼きがあった。

「焼きたて!?おいしそう」

「露店で見つけてさ。十手が言うには、日本の味と変わらないって」

「十手のお墨付きなら本場の味だね!」

 早速、二人でテーブルを挟んで向かい合って座り、日本では定番の緑茶はないので、ここは妥協してイギリス産の茶葉で淹れた紅茶を用意する。二人で、いただきますと挨拶してからそれぞれ鯛焼きに齧りついた。

「うーん!おいしい!」

カトラリーの表情がみるみるうちに幸せそうに緩んでいく。私もカトラリーにつられて笑みが溢れた。

「外はカリカリ、中はもちもちの生地!ね?マスターもそう思わない?」

「うん。おいしい。甘さを控えた中身も最高だね」

二人して、顔を見合わせて笑う。おいしいものを食べて、幸せを共有できる間柄が続けばいいなと思った。

「あのさ。今度は一緒に、鯛焼き買いに行こうよ。も、勿論!二人だけってこと、忘れないでよね!」

頬を染めて口にするカトラリーの姿に、私は頬を緩ませて頷いた。
 カトラリーも、私と同じ気持ちだったらいいのに。そう願わずにはいられなかった。

2023.03.07