
Bookso beautiful yet terrific.
なんでもない日のパーティーの当日。ハーツラビュル寮自慢の庭には、中央に食事や飲み物が乗った大きな長方形のテーブルがあり、その周りを囲むように丸いテーブルといくつかの椅子を用意した席が存在した。みんな、それぞれ仲の良い寮生達と丸いテーブルを囲っている。
私は、中央にある長方形の大きなテーブルの上に並んだご馳走を取り皿によそり、おいしそうなミックスジュースをグラスに注ぐ。それらを持ったまま何処に座ろうか席を探していた時だった。
「おーい!監督生!こっちこっち!」
呼ばれた先を見ると、そこには既に席を陣取っているエースとデュースとグリムがいた。テーブルの上には食べ切れるのか心配になるほどのご馳走の山が並んでいる。
「ほふん!ほれ!ひょーふまいんだゾ!」
リスのように頬にパンパンに詰め込んでご馳走を貪り食べているグリムが何を言っているかは分からないが気にしてはいけない。いつものことだ。
丸いテーブルには椅子が7脚ある。せっかくエース達に誘ってもらったので私も遠慮なく空いている椅子に座る。エースとデュースとグリムと私が座っても、7脚ある内の3脚がまだ空席だった。
「あ!ラッキー。ちょうど3人分空いてるじゃん」
その声に私達が揃って振り向くと、両手に塩っぱいおかず系のご馳走を乗せた皿を持ったケイト先輩が立っていた。
「エーデュースちゃん達!ここの席いい?」
「勿論、大歓迎です!」
ケイト先輩の問いにすぐさまデュースが元気よく返事をした。ケイト先輩は、私達にありがとうと朗らかに微笑んでから自分の後ろの方にいる人物達に声をかけた。
「トレイくん!リドルくん!こっちこっち!」
ケイト先輩の後ろの方にいたトレイ先輩とリドル先輩が反応してこちらの席にやって来た。二人の手にはそれぞれ苺のタルトが乗った皿があった。
「ありがとう、ケイト。ちょうど向こうの席が埋まっちゃったから助かった」
「呼んでくれてありがとう。ん?エース達も一緒だったんだね。お邪魔するよ」
残り3脚の椅子に、ケイト先輩とトレイ先輩とリドル先輩が座っていく。
正直、先輩達と相席というのは緊張するものがある。しかし、私の気持ちなんぞお構いなく、グリムは相変わらずご馳走の山々をバクバクと食べ、エースとデュースも臆さずに年上の面々と話していた。
「あっれー?監督生ちゃん。食欲ない?大丈夫?」
私がすっかり食べる手を止またままになっていることに気づいたケイト先輩が気遣うように私をみる。すると、エースとデュースが私に視線を向けてはじっと顔色を確認してきた。
「風邪でもひいた?あんまり無理すんなよな」
「それとも。好まない味の物とかあったのか?」
「ああ、違うの。賑やかで楽しそうなパーティーに、流石ハーツラビュル寮だなあと思って」
慌てて体調不良を否定してから、私は止めていた手を動かしてフォークを握り直す。自分がよそったご馳走を再び口に運んでみせると、トレイ先輩が苦笑いを浮かべた。
「食欲ないなら無理して食べなくて大丈夫だよ。ちゃんと、お土産も用意してあるしな。帰ってから、ゆっくり食べてもいいし」
「お土産!?オレ様、オンボロ寮に帰ってからも、じゃんじゃん食べるんだゾー!」
トレイ先輩の気遣いに反応したグリムの頭の中は食べることしかないようだ。そんな一連のやり取りを眺めていたリドル先輩が、ふっと笑ったのだった。
「賑やかなトランプ兵達のせいで彼女が困っているじゃないか」
それから、リドル先輩が私を見る。
「でも、この雰囲気が嫌ではなかったら、いつでもハーツラビュル寮においで。歓迎するよ」
そう言ったリドル先輩の表情がとても優しかった。
私は、同じテーブルに座る面々を見回してから頷いた。またパーティーに来たいなあと思いながら。
2023.03.09