
Bookso beautiful yet terrific.
困ったなあと思いながら私は教室の入口にいた。今日は上級生と合同授業があるとクルーウェル先生から説明を受けていたけど、その合同授業に使われる教室内には何処を見ても知ってる顔がなかった。残念ながらエースとデュースは私とは違う選択授業を取っているので一緒にはいない。グリムに至ってはどうせ問題を起こすからとクルーウェル先生に問答無用で連れて行かれるし。
しかし、いつまでも入口を塞いでいるわけにもいかなかった。私は勇気を振り絞って教室に入り、後ろの方の空いている席に座った。
「あの子、監督生じゃん」
「珍しい。1人だ」
「おまえ話しかけてこいよ」
「いやいやいや!相手は女の子だぜ!緊張して無理無理!」
あきらかに私の方を見てひそひそ話す上級生達の姿に私は縮こまっていく。お願い!誰か知ってる人が来ますように!と祈った時だった。
「おお!監督生!おまえもこの選択授業だったのか!」
私が顔を上げると、歯を見せて笑うカリム先輩の姿があった。カリム先輩は遠慮なく私の右隣の席に座り、持っていた教科書とノートを広げ始めた。
「君か。カリムが突然走って教室の中に入るから何事かと思ったが。そういうことだったんだな」
カリム先輩のあとからやって来たジャミル先輩は短く息を吐いてから私の左隣の席に座り、自身も持参した教科書とノートを広げて授業を受ける準備を始めた。
「分からないことがあれば何でも聞いてくれ!ジャミルが教えてくれるからな!」
「おまえが教えるわけじゃないのか」
あっはっはっと明るく笑い飛ばすカリム先輩と呆れたようにツッコミを入れるジャミル先輩のやりとりに私はつい小さく声を出して笑ってしまう。
「初めて受ける授業だったので緊張していたのですが、お2人が一緒で安心しました。先輩、よろしくお願いいたします」
私の言葉に、カリム先輩が当然だと言わんばかりに胸を叩いてみせた。一方、ジャミル先輩も頷いたかと思えば何処かに視線を向けた。
「ジャミル先輩?」
「ん?いや。刺客の気配を感じてな」
刺客!?と目を丸くする私にジャミル先輩は冗談だと笑った。カリム先輩もジャミル先輩の視線に不思議そうに首を傾げていたが、すぐにああと納得した表情を浮かべた。
「人気者は大変だよなあ」
なんて暢気に言ってのけるカリム先輩に対し、今度は私が首を傾げる番だった。
やがて、授業開始のチャイムが鳴る。それを合図に私はジャミル先輩とカリム先輩と共に教壇に立つ先生に向き直った。
密かに、スカラビアの牽制怖すぎ!!!と、言われているのを知らないまま。
2023.04.13