
Bookso beautiful yet terrific.
ある日の放課後。図書室で明日の魔法薬学の予習をしようと向かっていると、前を歩く友人の姿を見つけて私は声をかけた。
「エペル!これから図書室?」
「あ、監督生サン。うん。これを返そうと思って」
私の問いかけに振り向いたエペルは持っていた本を私に見せてきた。その本の正体はヴィル先輩の写真集である。
「学園の図書室って何でもあるんだね」
「司書サンにルークサンが必死に頼み込んで、図書室の一角にヴィル・シェーンハイトの特集コーナーを作ったんだって。他にも、子役時代から現在までの歴代のヴィルサンの載った写真集や掲載誌もあるとルークサンに聞いたよ」
「いや、その。凄いね!色々と」
私の反応に、エペルは眉を下げて曖昧な表情を浮かべるだけだった。ふと、エペルは私の持っている教科書と筆記用具に視線を向けた。
「監督生サンはこれから勉強?」
「うん。明日の魔法薬学の予習をしようと思ってさ」
会話しながら、自然とお互いに歩幅を合わせて目的の図書室に向かって歩いた。
図書室内に入った私達はそれじゃあと別れて、それぞれの場所に足を向けた。エペルはカウンターに行って写真集を返却しに行き、私は空いている席を見つけて座りノートを広げた。すると、カウンターから戻ってきたエペルが今度は違う本を持って私の向かい側の席に座った。
「もしかして。明日の魔法薬学ってこれ、かな?」
エペルはそう言いながら開いた本のページを私が見えるように机の上に置いてみせた。私は示されたページを大雑把に目を通してから頷き、エペルの顔を見た。
「うん!これ!ありがとう。教えてくれて」
「いいよ。僕も昨日、この本を参考に予習したんだ」
「それじゃあ。その魔法薬学の授業、もう受けたの?難しかった?」
「うーん。しっかり予習しておけば理解できると思う、かな。だから、監督生サンなら大丈夫だよ」
にっこりとエペルが微笑んだ。エペルに言われると、何でもできちゃう気がした。
それから、エペルの指導を受けながら魔法薬学の予習をしていると、ヴィル先輩とルーク先輩が現れた。
「あら。懐かしい内容ね。その魔法薬の調合方法」
「そういえば。私のクラスで爆発させた生徒がいたよ。今でも彼とは、当時の話題で盛り上がったりしてね」
「爆発?それ、そんなに難しい調合じゃなかったと思うけど」
ヴィル先輩はエペルの隣に、ルーク先輩は私の隣にそれぞれ座る。2人して私達の手元にある教科書や本を覗き込んでは、目を細めた。
「せっかくだからアタシが教えてあげる」
「ヴィルに教えてもらえるだなんて光栄だよ!ヴィルの教え方は丁寧で分かりやすく所作も美しい。私も、ぜひご教授願いたいね!」
「アンタねえ。まったく。ルークが教わる必要ないでしょう。1年生の授業内容なのだから」
「ヴィルが教えてくれるものなら、私は何度でも学ぶよ!」
はあと深々と溜息を吐くヴィル先輩と本気なのか冗談なのか分からないルーク先輩の姿に、私とエペルはお互いに顔を見合わせる。それから2人して、クスッと笑ったのだった。
美しい先輩達の漫才みたいな掛け合いを眺めるのは楽しいなあと思いながら。
2023.04.27