
Bookso beautiful yet terrific.
6年生に進級した途端、朝の会でも学年集会でも先生達に耳にタコができるほど言われるようになった。
「最高学年として恥ずかしくないよう、下級生のお手本になる行動をしなさい。って言われるの。ねえファル。どう行動すればいいのかなあ?」
私は学習机の上に宿題を並べながら、私の部屋でコーヒーを飲んで寛ぐファルに問いかける。ファルは、私の部屋に設置したピンクのミニテーブルの前にきちんと正座して座り、手にしていたコーヒーカップをソーサーの上に戻している。
「さあ?」
「さあって。何かアドバイスないの?」
「ありません」
ぴしゃりとファルが言ってのけるので私は眉を寄せる。それから並べた宿題の一つに手を伸ばして、鉛筆も持った。
すっと隣に立つ気配を感じたのでそちらを見上げると、ミニテーブルの前から移動してきたらしいファルが私の宿題を覗き込んでいた。
「宿題はこれで全部ですか?」
「うん」
「不明な点はありますか?」
「今のところはないよ。分からなかったらファルに聞く」
「ええ。そうしてください」
ファルの視線を感じながら私は宿題に向き直る。鉛筆を持った手を動かし始めた時、ファルが口を開いた。
「あなたは真面目な方ですので、これまで通りでいいと思いますよ。きちんと宿題して、期日までに提出して、授業もしっかりと受ける。それで十分だと私は思いますけどね」
頭に、ぽんぽんと大きな掌が乗った。私が振り向くの同時にファルはくるりと私に背を向けて部屋を出て行ってしまった。
ファルが言うなら、それでいいのかな。そう思った私は気合を入れ直して宿題を再開したのだった。
2023.04.27