
Bookso beautiful yet terrific.
入学式を終え、いよいよ大学へ初登校するために意気込んで玄関の扉を開けた時だった。
「マスター。もう家を出る時間か?」
何故かそこにはペンシルヴァニアが立っていた。確かに、朝から姿を見てないとは思っていたけど、朝早くから何処へ行っていたのだろう。そう疑問に思いつつも、とりあえず私はペンシルヴァニアに返した。
「うん。行ってくるね」
「分かった」
ペンシルヴァニアの目尻が下がる。大学に行く前に穏やかな顔が見れて、正直ホッとした。おかげで、緊張が解れていく。
ふと、ペンシルヴァニアの手が私の腕を掴んで手首を見る。私の腕時計を見つめながら尋ねてきた。
「大学まではバスで行くと言っていたな」
「そうだよ」
「何時のバスに乗るんだ?」
「えーと。確か、」
昨夜確認したバスの時刻を思い出しながらペンシルヴァニアに伝えると、ようやくペンシルヴァニアは私の腕時計から視線を外して同時に掴んでいた手を解いた。
「よし!さあ、行こう」
今度はその手を私の背中に当てて歩くよう促した。私がつい一歩踏み出すと、ペンシルヴァニアも同じ方向へ足を進める。それがあまりにも不思議で、私は目を見開いたままペンシルヴァニアを見上げた。
「え?」
「どうかしたのか?」
「いや、そうじゃなくて、」
「何か心配事があるならいつでも話してくれ。俺も、あんたと一緒に大学に通うからさ」
にっこりとペンシルヴァニアが微笑んだ。私は、ペンシルヴァニアに言われた言葉の意味がすぐに理解できずに固まった。
ちなみに。ペンシルヴァニアの姿が朝から見えなかったのは本人曰く、大学までの道のりを私より先に一度行って来たからだそうで。
2023.05.03