
Bookso beautiful yet terrific.
朝。まだまだ新しいランドセルを背負って、くるりと彼女が振り向いた。
「どう?似合う?」
にっこりと笑う彼女に対し、僕も頬を緩めて頷いてみせる。
「はい。お似合いです」
「ちなみに、お洋服はどう?」
「かわいいですよ。輝いて見えますね」
やったー!と子供らしく両手を上げて喜ぶ彼女の姿に僕はこっそり声に出して笑った。彼女のかわいらしさについ笑ったなんぞ本人にバレると、子供扱いしないで!と彼女がむうと頬を膨らませてしまうから。
「今日の髪型には自信があるの」
「いつも以上にかわいいです」
僕の返しに彼女は自らの両頬に両手を当てて、きゃー!と軽く悲鳴を上げてみせた。小学生になったばかりとはいえ、流石女の子だなあと思う。
僕は部屋に設置してある掛け時計を示しながら彼女に学校へ行くように促した。
「マスター。そろそろ時間ですよ」
「あ!本当だ!」
僕の言葉に、彼女は先程のルンルンとした表情から一転して顔を引き締める。
「それじゃあ。行ってきます」
「はい。気をつけて行って来てくださいね」
僕がひらりと手を振りながら見送ると、彼女は頷いてから僕に背を向けてパタパタと去って行く。やがて、玄関の方からバタンと扉が閉まる音が聞こえてきた。
誰もいなくなった部屋で、僕は太く息を吐いた。彼女のあの雰囲気だと、そのうち彼氏ができたと言ってきそうで怖かった。駆け足で成長していく彼女に、僕だけが置いていかれるような気がして。
2023.05.03