
Bookso beautiful yet terrific.
任務帰りのことだった。午前中は晴れていたのに、午後から雨が降り出してしまった。
「すっげえ雨だな」
帰りの列車の中で、窓際に座るライク・ツーが窓の外を見ながら嫌そうに言った。確かに、外は土砂降り。駅に着いても、傘のない私達はそこから士官学校まで走らなければならないだろう。私は隣の席に座るライク・ツーに向かって軽い願望を述べた。
「駅に着くまでにやむといいけど」
「やむレベルか?これ」
間髪入れずにライク・ツーに返された。あからさまに溜息を吐くライク・ツーに対し、私もライク・ツー越しに窓の外を見た。自分で言っておいてあれだけど。確かに、駅に着くまでにやむような雨ではないよね。
「土砂降りの中を走るのはマジで勘弁」
そう言いながら、ライク・ツーの表情がさらに歪んでいく。私は窓の外とライク・ツーの顔の両方を見てから前を向いた。
「考えても仕方ないよ」
「それぐらい知ってる」
「とりあえず。少し休もう」
任務帰りなので流石に疲労が溜まる。私がふうと短く息を吐いた瞬間、私の肩にトンと軽く重みがかかった。さらさらした髪が私の頬に当たってくすぐったい。
「何をしているの?」
「休もうと言ったのはおまえ」
「それで?」
「俺は少し寝るからおまえも寝ろ」
ライク・ツーの言葉に、つい苦笑いが溢れる。それから私の頭もライク・ツーの頭にぶつけるように寄せてやった。
駅に到着するまで、まだまだ先。駅に着いても雨がやまなかったら、ライク・ツーはまた嫌そうな表情を浮かべるのだろう。でも。ライク・ツーと何気ない会話ができる今が幸せと思うのが本音。
そんなことを考えながら、私はゆっくりと瞼を閉じたのだった。
2023.05.13